永遠の美少女   NO.01
=== 出会いと別れ ===   (1956.春)       作:茫 掴
 春は、美和にとって子どもながらに嫌な季節であった。教職にある父の仕事の関係で異動の時期である。
小学5年生となるこの春にその時はやってきた。それまで学年一クラスだけの学校であったが、新しい学校は三クラスだった。地方の県北部にあるその見知らぬ町で、今までと大きく違うことは、父と離れることであった。父の勤務場所が小学校から中学校へ変わったからである。それは美和にとって一つのしがらみから開放されたような喜びでもあった。
 小学5年生の美和にはもっと大きな喜びがあった。慧子という素敵な女の子が同じクラスにいたのである。初めて感じるその恋心を実感するのにそれほど時間を必要としなかった。しかし言葉にしてそれを伝える術を知らない美和にとって何十年後の今でも鮮明に覚えているのは、慧子の家の近くに住む宮田という男の子がとても羨ましかったことである。
 美和にとっての初恋には急な別れが待っていた。一年もしないうちに慧子は転校してしまうのである。お別れにクラス全員にプレゼントされた鉛筆を手に冷静を装い、帰宅してから密かに泣きじゃくる美和であった。
 2年後に再会して・・・二人の間に新しい事実が・・・
HP用に固有名詞等を修正して順次公開しております。長編のため、予定が大幅に変更になることが考えられますが、ご了承ください