◇ 東海道新幹線の乗り心地向上 ◇

JR東海は、東海道新幹線の良好な乗り心地に向けて、開発し続けてきた車体傾斜システムを平成19年7月1日より営業運転を開始した N700系新幹線電車に採用した・・・。

乗り心地を研究するうえで、列車が曲線走行時に 起きる横G。つまり、曲線外側の定常的な 乗り心地と走行時の揺れに 対する感覚について検証を行った。結果、前者には車体傾斜システム、後者にはセミアクティブ制御装置や車体間ダンパーなどの方法を 採用し新幹線車両の乗り心地を図ってきた。

【 車体傾斜システム 】

円滑な車体傾斜動作を実現する・・・

N700系ではR2500を270q/hで走行できるように外軌道側の空気バネを上げて車体を1゜まで傾斜させることができる。車体傾斜をスムーズ に行うためには、空気流量を適切に変化させ 空気バネの高さをうまくコントロールする必要がある。

   ■ 図1 空気バネ給気構造

■ 空気流量ハード構成 ■

従来の車両には、空気バネの高さを機械的に調整する装置が設けられているが、この装置は空気を出し入れする機能が小さいため、 車体傾斜を行う車両には制御弁を 新に設置し、通常時走行と傾斜時走行で空気回路を切り替えることにした。制御弁を多用すれば空気流量をコントロールしやすくなるが、 重量・コスト・信頼性の面で好ましくないと判断。そこで、300X試験車両において制御弁を通る空気流量や装備数を策定する試験を実施し た。その結果、空気流量は大、中、小の3個の制御弁をを組み合わせ、使用条件を考慮することにより、空気流量を適切に調整できること が判明した。

■ 空気バネへの給気方法 ■

空気バネへの給気方法は、空気バネが円滑に動作を始めるように曲線 進入直前より空気バネに空気を送り込み始め、徐々に使用する制御弁の数を増やし空気バネの円滑な動作を確立した後、使用する制御弁 の数を減らしていき傾斜動作を穏やかに完了させるのである。この方法は、曲線形状に沿った形で連続して空気を送り込むことが可能な ため、円滑な傾斜動作を行うことがだきるのだ。
   ■ 図2 傾斜中の空気動作イメージ

N700系への採用

この取り組みで得た給気方法は、300系J1編成にて営業車両を対象とした空気流量や空気配管構成など設計に関する知見を取得した後、 N700系の車体傾斜システム採用された。これは、新ATCにより得られた精度の高い速度・位置情報を制御伝送装置を使って本給気方法に より円滑な傾斜動作を実現している。

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