J1編成現車走行試験の“目玉”は、なんといってもこの新型集電系を K号車に搭載して実施された各種の試験であるといえよう。E号車は従来型のパンタで、その特性比較を目的としている。走行試験中は、 パンタグラフの状況確認のためEK号車屋根上の灯光器を点灯させていた。 |
この新型パンタグラフの特徴は一目瞭然!肘の部分の空力処理である。肘の部分が碍子を覆う形になっている。これは、最近のF1マシンの サイドポンツーン形状によく似ている。以前から問題となって いる集電系音を 限りなく低減させることがすなわち空気抵抗を減らすことであり、これは消費電力の低減かつ、 環境への配慮につながる。1/1000秒を争うF1マシンとの違いは、新幹線の場合、“地球環境に最も優しい高速輸送機関”を コンセプトとしているところだ。 |
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パンタグラフの開発にあたっては、
以上のことが求められ、風洞実験によりパンタグラフ単体に、走行風を想定した風を当てて、騒音や揚力を測定。
碍子カバーの開発にあたっては、
以上のことが求められ、風洞実験によりパンタグラフと碍子カバーを組み合わせ設置し、騒音や舟体部の風の流れの向きを測定。
現在、営業に使用されている700系に比べて、よりよい低騒音な集電系の開発に見通しを得た。これを試験車J1編成に搭載し、現車走行試験を 実施して定量的な効果の確認をした。
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従来型集電系 | 新型集電系 |
パンタグラフを取り囲むように設置する碍子カバーは、パンタグラフの支持碍子やケーブルヘッド碍子に風が直接当たらないようにするだけで なく、整流効果を促し、パンタグラフに 生じる揚力を適正な範囲に収める役割を担っている。 | |
集電部から発生する騒音について検証した結果、パンタグラフと碍子カバー間に 設ける空隙部分に 生じる乱気流と判明。そこで必要な電気的絶縁距離を確保したうえで碍子カバーの形状を改良して、空隙部分の面積を縮小した。 | |
空隙部分の面積を縮小するのには碍子及びケーブルヘッド碍子をコンパクトに配置することが必要となり、支持碍子の1本をケーブルヘッド 碍子と兼用し、4本の支持碍子を2本減らすことで、集電部の総碍子数を5本から3本にし強度確保のため碍子自体を太くするなどの形状変更を 図った。 | |
次にパンタグラフの低騒音化対策として 、パンタアームの中間ヒンジを整流効果を 促す風防カバー内に収め、騒音の発生を抑制した。また、 直接パンタと架線が接触する騒音を防ぐ2面側壁も取付け位置や 形状などが改良された。 |
新型パンタグラフを搭載して、徐々に速度を上げてゆき、最高速度に至までの段階を確認し、その性能的効果の確認をする試験。
新型パンタグラフの耐久性を確認をする試験。営業列車の空きスジを利用し、営業列車同様の速度で走行しながら、様々な角度からのデータを 収集するのが目的。
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▲ 特別高圧用分岐器の横にある箱型をしたものの右側が投光器、左側が監視カメラ。 |
空力音を低減するために音の発生源となる部材の数を限りなくし、空気を切る面積を極力小さくした現在の300系、700系に搭載のシングルアーム パンタグラフを更に進化させたパンタグラフ。舟体上部の摺板及び、 舟体両端から伸びるホーン部分の穴の形状や長さ、形状を変えたパーツを載せ替え、それぞれのデータ収集をし比較するのが目的。
条件変更試験の一環として行われたのが6号車のみの1パンタでの回送だ。深夜帯の走行試験の翌朝の回送の殆どが12号車のパンタを下ろして の回送だった。2基のパンタのうち1基が故障などのトラブルが発生した場合、1パンタでの走行がどの程度まで可能かなどの確認走行。これは 節電目的というより、2個のパンタより1個の方が当然ながら、騒音量が減るという考え方である。現行ダイヤの東京〜三島の回送に視点を置いている。 |
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▲ 投光器点灯で、12号車のパンタを下ろして回送してきたJ1。 |
新型パンタグラフの揚力をテストするために 、様々なパターンの走行で のデータ収集をしそれぞれの効果を比較するのが目的。また、この新型パンタグラフ揚力試験は、新型パンタグラフ条件変更試験と併用して行わ れた。
新型碍子カバー搭載の騒音や舟体部の風の流れの向きを測定。これも新型パンタグラフ揚力試験同様に行われ、風洞実験結果との比較評価を目的 とした。
碍子カバーは、従来型よりスリムになっていて、その外側に ある2面側壁も丸みのある形状になり、 薄型になっているのがはっきりと解る。
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▲ 従来型集電系 | ▲ 新型集電系 |
新型集電系搭載の12号車の台車挙動を測定。トータルバランスの確認を目的としたデータを収集した。
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