Z0を狙え!

N700系走行試験を撮る

平成17年3月12日N700系量産先行試作車Z0編成が落成した。平成17年3月10日に初の公式試運転を行い、同年4月4日から走行試験を開始 し、平成18年3月30日にはステップ3までの試験メニューを消化した。前日の3月29日には、量産車の車内環境を含めた仕様決定を発表。 そしていよいよ、同年4月9日からステップ4の60万qを走破する 長期耐久試験へと突入していった。

そこで、当サイトでは、このZ0にRock on !ステップ4長期耐久試験期間に、思う存分撮影していただける ように私なりの分析データを基に語らせていただきます。

◆  試運転を記録する  ◆

■ 試運転走行写真のねらい!

まず最初に、試運転でしか撮れないカットを狙うのです。走行写真から細部に至まで、走行写真は特にZ0の編成名がはっきりと写る 望遠レンズでの撮影が好ましい。

山陽新幹線 新山口U1# 3号車付近 H18.1.15 8968A
Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/400sec f5.6 RDPV+1
  露出補正:バラストを評価測光したものから−1/3段。

まぁ、下の池や新居跨線橋などで標準系レンズを使用して名所バックも、いい。 もちろん富士山バックの名所浮島もそうだが・・・  どうせ撮るなら大きくズバットやりたいよネっ。やっぱ新幹線撮るなら超望遠 は必要不可欠!

左の写真は、新山口で上り本線から下り1番への進入を800oで狙ったものです。当然試運転でしか撮れないショットです。


▼ 作画のねらい


@ 16両の編成ならではのクネリ。
A 画面上部を広めに取ることにより、ビー
    ムの重なりが奥行きを引き出す。
B 車両の側面には、バラストの反射光が
    当たり、レフ板の役目をしてくれている。

長期耐久試験の間合いに、このパターン試験が1,2回はあるかなっ?また、  これから停電での試運転もあることだろうし、色々なパターンを想定し狙ってみてはいかが かな・・・



■ 歴代新幹線車両中最も撮り辛い・・・

N700系は、その独特なフォルム「エアロ・ダブルウイング形」と呼ばれる先頭形状を持つ。正面から見ると、あたかも荒鷲が翼を広げた姿に似て いることからこう名付けられたそうだが、私がこのフォルムを最初に見た時、近代F1のエアロをイメージした。 これってもしかしてエイドリアン・ニューウィが デザインしたの?そんな訳ないか・・・何れにせよ「エアロ・ダブルウイング形」は、700系の「エアロ・ストリーム形」よりも更にノーズに受ける 光の反射がキツイのである。複雑な形状で反射がキツく、撮るアングルによっては全然異質の顔になる。そもそも、300系以降登場した新幹線は、 意図的に逆光で狙ったほうが、より臨場感が強調できるというのが私の撮影スタイルだった。しかし、N700系に関しては一概にそうとはいえない 部分がある。つまりこのN700系は、歴代新幹線車両中最も撮り辛い車両と言っても過言ではない。

▼ ネックはノーズ形状の落し込みと離れた目

Z0を最初に逆光で狙ったのも新山口だった。仕上がった原板をルーペで見た時、えっこんなにも反射がきついの か!?そして、このノーズの落とし込みは・・・

山陽新幹線 新山口U1# 3号車付近 H17.7.31 7988A
Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX1.4 1/640sec f6.3 RDPV+1
 露出補正:バラストを評価測光したものから−2/3段。

何だこれは、0系や100系でも味わったことのないシャドウ部分とハイライトとのコントラスト!これは、今後 のN700系撮影において大きな課題のひとつになった。右の写真は、全体的な露出はOKなんだが顔の飛びが やたら目立つ。そして、前照灯の位置が左右離れていることから、顔がはっきりと写らないのだ。例えば、300系を標準とするなら、700系は寄り目、 N700系は離れ目である。きちんとこの顔を表現できない限り写真としての意味を成さない。やはりこれは、今まで以上に大胆に絞る必要があると 思った。このパールホワイトのニューフェイスはなかなか手強いゾ!

さて、大胆に絞るといっても全体的なバランスがある。トップライト気味の逆光ではバラストの反射部分 を評価測光した−1段!  このページのタイトル写真がこれである。これ以上絞るとノーズ先端部分が妙に黒くなり変な 顔になる。被写体に対して、光線の当たる角度がこれほどまでに写真の仕上がりを左右するものかと、改めて思い知らされた。



▼ 曇天でも光る顔

下の4枚の写真は、何れも曇天下での撮影である。曇天光にもこのN700系のエアロ・ダブルウイングはしっかりと反射!これは喜んでいいのやら、 悲しんでいいのやら複雑な気持ちだ 。曇天光というのは そもそも太陽光線が雲を通り抜けてきた光のことだ。つまり、曇天でも光は被写体にあたっている。このあたりまえのことを改めて実感させられた 。Z0よ、君はよく光る!ズバリ曇天下では 、今までより1/3〜1/2段アンダーな露出が良い。

初の本線走行ショットは、雨上がりの朝5:18 初東上ショットは、報道陣を尻目に鍛冶橋の特等席から
東海道新幹線 浜松〜豊橋 伊場Bo付近 H17.5.31 7883A
Canon EOS 3 EF70-200oF2.8L USM 1/250sec f2.8 RDPV+1
東海道新幹線 品川〜東京 鍛冶橋Bv付近 H17.7.24 7880A
Canon EOS 3 EF28-70oF2.8L USM 1/500sec f5.6 RDPV+1
   
新下関の障害物完全クリアは、天下御免の800o この日は、小倉まで攻め込んだ!
山陽新幹線 新下関 U1#16号車付近 H18.1.15 8851A
Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/320sec f5.6 RDPV+1
山陽新幹線 小倉 D0#16号車付近 H18.1.15 8853A
Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM 1/250sec f4 RDPV+1
▼ 曇天下は正面からドアップで!

曇天下の撮影は、このエアロ・ダブルウイング形を強調すべく正面からドアップでズバッと抜きとるのが一番!

山陽新幹線 徳山D1# 1号車付近 H18.3.5 8962A
Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/800sec f7.1 RDPV+1
  露出補正:バラストを評価測光したものから−2/3段。

しかも、この先頭形状の特徴から通常より1/3〜1/2段絞れるため、多少の露出不足もなんのその。画面1/2以上に先頭部が占めるように 画角を設定すればOKだっ!

左の写真は、もうお馴染みの徳山のカーブ。R1600は、170q/hの速度制限を受ける。そのため、比較的楽に撮影できる。天候条件に合わせ て撮影するというオーソドックスな例である。

ちなみに浜松の場合は、R2500-R2200-R2500の複合カーブで速度制限は、230q/hである。また、駅撮名所でお馴染みの小田原は、R3000に も拘らず230q/hの速度制限である。これは、駅構内の小峰トンネル入口付近手前の路盤が悪いためだ。

ここでひとつ?が・・・R2500は270q/hで走行するN700系だが、この他の速度制限のある区間はいったいどうなるのか?浜松などは255q/hで 通過なのでは?答えは現状維持だそうだ。いずれ、N700系量産車 が増えた時に見直されるのでは・・・?



■ N700系量産先行試作車Z0編成走行試験概要
▼ 車両性能と開発コンセプト
N700系の開発コンセプト「東海道・山陽新幹線直通次世代車両として、最新・最速・最良・省エネの ハイテク車両」
 
1.最速のハイテク車両 @  最高速度:270q/h(山陽区間:300q/h)
A  曲線通過速度(R2500):270q/h  車体傾斜システムの採用
B  加速性能の向上:2.6q/h/s

2.快適性の向上 @  乗り心地の向上
A  車内静粛性の向上
B  車内快適性の向上

3.環境性能の向上 @  環境への適合
A  省エネルギー化への推進


【 N700系量産先行試作車Z0編成・編成組成図 】
 
編成 号車 @ A B C D E F G H I J K L M N O
Z0
東一
形式
車号
次車
新製
車種
783
9001
先試 H
170312
787
9001
先試 H
170312
M2
786
9501
先試 H
170312
M’
785
9001
先試 H
170312
M1
785
9301
先試 N
170312
M1
786
9001
先試 N
170312
M’
787
9401
先試 N
170312
M2
775
9001
先試 N
170312
M1
776
9001
先試 N
170312
M1sw
777
9001
先試 N
170312
M2
786
9701
先試 N
170312
M’
785
9601
先試 N
170312
M1
785
9501
先試 N
170312
M1
786
9201
先試 N
170312
M’
787
9501
先試 R
170312
M2
784
9001
先試 R
170312
T’


▼ 走行試験は4ステップで万全な検証

N700系走行試験は、大きく4ステップに分けて実施されている。万全な体制で、完成度の高いN700系の確立を目指しているそうだ。

【 走行試験計画 】
 
期 間目 的試験内容
ステップ1
(H17.4〜8)
東海道区間における車両基本性能及び地上設備とのマッチング確認
  • 基本性能試験(力行・ブレーキなど)
  • 最高速度向上試験
  • すれ違い試験(J.C.W編成)
  • FC試験(周波数変換変電所給電区間)
  • 車体傾斜基本性能試験
  • 東海道通し運転
  • ステップ2
    (H17.8〜10)
    山陽区間における車両基本性能及び地上設備とのマッチング確認
  • 基本性能試験(力行・ブレーキなど)
  • 最高速度向上試験
  • 山陽通し運転
  • 集電部条件変更試験(東海道・山陽)
  • ステップ3
    (H17.10〜H18.3)
    新ATC、車体傾斜及び制御伝送装置を合わせた全線での速度向上試験

    山陽区間における車両基本性能及び地上設備とのマッチング確認
  • 曲線通過速度向上試験
  • 新ATC確認試験
  • スプリンクラー散水試験
  • 車外設備条件変更試験(東海道・山陽)
  • ステップ4
    (H18.4〜H19上期)
    60万qの長期耐久試験
  • 東海道・山陽通し運転
  • 東海道通し運転
  • 山陽通し運転


  • ■ 長期耐久試験での撮影ねらい
    ▼ 停車駅では細部写真を

    停車駅では、台車スカート、集電装置、全周ホロなどの細部写真を撮るのも面白い。パーツ変更の状況が記録できる。

    ▲ 落成からH17年12月末までの台車スカート
     
    ▲ H18年1月9日 車外設備変更。台車スカートの形状変更
     
    ▲ 5号車の集電部 側壁及び碍子カバー側面が平滑
     
    ▲ 12号車の集電部 側壁及び碍子カバー側面にリベット状の凸がある
     
    ▲ 内軌道側に突起する全周ホロ
     
    ▲ 12号車側壁クローズ・アップ
     
    ▲ こんな光景も試運転でのひとコマ
     
    ▲ 広角レンズでお顔のクローズ・アップ
     

    試運転でのひとコマというのは、後に貴重価値が出てくる。これから増備される車両だから今慌てて撮らなくてもいい、なんて思っていたら とんでもない。少なくとも私のサイトの常連さんにはそんなこと思っている人は一人もいないはず。

    ▼ 勝負どころを見極める!

    試運転でのひとコマを狙う上で、勝負どころを見極めることが普段の撮影以上に重要視されてくる。最近では 、幹鉄人口も増えたせいか、撮影ポイントにギリギリに行くと自分の入る スペースがない!なんてこともあり得るのだ。特に新幹線は、定員1名なんてところが数多くある。天候、運転状況を把握して撮り溢し のないようにしたいものだ。

    山陽新幹線 福山D1# 1号車付近 H17.11.12 8962A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/500sec f6.3 RDPV+1
      露出補正:画面全体を評価測光したものから−1/3段。

    右の写真は、平成17年の晩秋に山陽路にZ0を撮影に行った時の福山でのひとコマ。福山の上り1番線への進入シーンは、短編成を400oで 撮るのに丁度いいアングル。しかし、16両編成となると尻切れになる。かといってそれより画角を広げると地上信号機などの障害物が入っ てしまう。どうせ尻切れなら思い切ってズバッと800oで狙いにいくことにした。

    ファインダーを覗くとバラストがキラキラといい感じに反射していた。ふとあのことが脳裏を過ぎった。 それは顔の飛びだった。しかし、あの時とは違う。トップライトの逆光ではなく、柔らかい晩秋の陽射し の斜光ということである。当然足回りにも日が当たるだろう。バラストの反射もそんなにきつくない。ここは迷わず出た目の−1/3段に 露出を設定した。

    この時の山陽路Z0撮影は、天気は今ひとつだったがデータ収集という点では私にとって大きな収穫になった。数日後、仕上がった原板を 見ると思わず頷いた。ヨシ、この手の光線ならいける

    その後、補助灯のある上りのアングルを撮ろうと633KP付近での撮影も計画したが、何分撮影費用がかかり過ぎることから断念。年明のシセ〜 コリ???でなくて、今はシセ〜シヤ。このパターン走行試験から狙うことにした。そして、1月の下旬に早くも勝負の日がやってくるのだった。



    ▼ ここ1番は・・・

    私の場合まず最初に、この日撮影にいけるかどうかがカギだった。 この週の仕事はいつになく気合が入ってい た。結果、撮影前日の夕刻にやっと1月28日(土)の撮影が決定した。

    東海道新幹線 用宗T付近 H18.1.28 7880A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX1.4 1/1000sec f6.3 RDPV+1
     露出補正:バラストを評価測光したものから−1段。
     

    平成18年1月28日はZ0の他、T4の新ATC総合確認走行試験に伴う回送もあり沿線は事の他賑わった。またプレス通達もあってかお馴染みの 顔ぶれが沿線各地で出没。そしてこの日、真っ先に本線上に姿を見せたのはなんと雪害対策列車に充当されたJ 1だった。

    しかし、なんといってもこの日の主役はZ0。さて、どこでどう狙うかだが・・・品引P2から発車し、浜松U2〜静岡U1間をふたヤマ半ののち 新大阪〜大一両という行程。朝の1本目7885Aが品引P2〜浜松U2とくれば当然この季節、快晴なら浮島で富士山バックと考えるのが大半だ と思う。そしてその後、何人かは裏用宗に雪崩込んで来るハズ?そうなると、どこのカットを優先し勝負するかがカギとなる 。試運転ならではの走行写真を考えると、富士山バックは二の次だ。 やはり補助灯点灯の上りアングルだ。裏用宗なら 2本目の7880Aの光線がお誂え向きの斜光だ。そうなると早めの場所取りが勝負を分ける、そう判断した。なにせベストポジション定 員1,2名の狭い場所だからだ。

    結果は、やはり場所取りが全てだった。11:35過ぎから浮島組が次々と現れて、 足場の悪いあの場所に総勢8名も!これはちょっとではなくかなりの驚きでしたヨ。平成17年11月12日の福山でのデータ収集と場所取りが、この日 の結果をもたらした。



    ▼ 大胆に絞って・・・

    平成18年2月5日この日は、三島に朝方J 1を狙いに行ったが、富士山にそっぽ向かれてしまいトーンダウンで東京に戻った。ところ がチャンス到来!Z0が浜松U2〜静岡U1間をふたヤマの条件変更試験を 行っていた。今なら浜松へ行けばふたヤマ目が間に合うとばかりリターンマッチに挑んだ。

    ********** H16.1.28 J 1 8920A **********
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM×EX2
            1/800sec f5.6 RDPV+1
    東海道新幹線 浜松U1# 1号車付近 H18. 2. 5 7882A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/800sec f7.1 RDPV+1
     露出補正:画面全体を評価測光したものから−2/3段。

    この光景は、平成16年1月28日にJ 1を撮影した時に光線状態が似ている。但し、あの時より気温が高いためそのまま色に出て いる。また、カメラポジションがJ 1の時は ホームの内側である。露出はZ0のほうがJ 1より2/3段アンダー。

    もうお解りですね。トップライトの逆光では、出た目の−2/3〜−1段がこのZ0の露出に適しています。まぁ、周囲の条件によっても多少 違ってきますがすが・・・

    N700系走行試験もステップ3が終了する頃には一通りデータが出揃い、3月29日には量産車の車内環境を含めた仕様決定を発表した。当方も、 一通りの撮影データが出揃い4月から始まる長期耐久試験へ照準を合わせるのだった。



    ▼ RXPを使ってモノクロ風に

    平成18年4月ウワサのRXPが登場した。果たして謳い文句どおりのフィルムなのか?私自身色々なパターンを想定して試撮をやってみることに した。勿論、長期耐久試験に入ったZ0がターゲットだっ!

    山陽新幹線 西明石D1# H18. 4.23 7956A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX1.4 1/1000sec f14 RXP+1
     露出補正:バラストをスポット測光したものから−1/3段。
     

    平成18年4月23日は、同年4月6日に変更手配が 出された分の東京〜博多ひとヤマの試運転だった。高速シャッターで、なおかつ絞り込んで撮影するということをやってみようと思い、RXPを チョイスしてみた。

    ▼ 作画のねらい


    @ コントラストを強調し、N700系の特徴
        を引き出す。
    A 画面全体をモノクロ写真風に仕上げ
        る。
    B 被写界深度が深くなり、被写体の動き
        が強調される。

    高感度フィルムは低感度フィルムに比べ粒子が粗い。そこで絞り込むことにより粒子の粗さをある程度目立たなくできる。その辺を考慮に入れ、 被写体を長めに捉えるアングルによりN700系の特徴である台車スカートが強調できた。まぁこれは、被写体が車体の白い新幹線だからこそ成しえる ワザ。16両の編成にそれぞれの影の濃淡が映り込み臨場感を与えている。パールホワイトの色反射と高感度フィルムRXPの特性を利用した結果だ。 このRXPは、リバーサルフィルム最大の武器である高彩度な点がこれからの撮影に 大きなのぞみを与えてくれるはずである・・・



    ■ 太陽の高度方位による違い
    ▼ 260KP付近での撮影比較

    東海道新幹線の浜松〜豊橋間、255KP付近〜260KP付近の約5qの直線は、東海道新幹線の中で最もアップダウンの多い直線である。N700系を 撮影する上で、その先頭形状の由来、「荒鷲が翼を広げ大空から舞い降り、獲物を捕らえ飛び去る・・・」これを イメージして800oで狙ってみました。下の2枚の写真は、被写体への太陽光のあたり方の違いを比較してみました。

    【 太陽の高度方位  静岡
    2006年4月9日 9:27
    高度47.5゜方位122.0゜ 日の出5:23 日の入18:14
    2006年5月10日 11:27
    高度72.2゜方位167.5゜ 日の出4:48 日の入18:39
    東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H18.4. 9 7881A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM ×EX2  1/800sec f5.6 RDPV+1
    東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H18.5.10 7891A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM ×EX2  1/800sec f5.6 RDPV+1
     露出補正:バラストを評価測光したものから−1 1/3段。  露出補正:バラストを評価測光したものから−1段。

    上の2枚の写真は、太陽光が被写体に対して逆光であたっている。露出は同じだが、撮影時刻に2時間の差があり、当然太陽の位置が違う。 もう少し噛み砕いて言うと、太陽光の回り込む角度の差である。右上の写真は、撮影時刻がこの日の太陽 の南中時と略一緒のため、太陽光がノーズ先端まであたっている。左上の 写真は、これに対してサイドリアライティングで 被写体を捉えている。これが太陽光の回り込む角度の差である。元々この場所は、ちょっとした切通しになっているため、冬季の晴天下で の撮影は不向きである。逆に夏季は、周辺の草木の葉などの影響を受ける。上の2枚の写真は、撮影に1ヶ月の差がある。4月上旬は足首 位の背丈だった雑草も5月中旬ともなると膝位まで成長していた。根強く成長する雑草の生命力は素晴らしいが、撮影には凄く邪魔な存在。 従ってベストな時期は、ズバリ4月中旬の南中時だっ!

    しかし、こうして自然と戯れて撮影するということはある意味、素敵なことである・・・


    ■ 絶対に逃すな!
    ▼ 車外設備条件変更試験

    平成18年9月10日に博総から浜工に戻ったZ0は、集電部条件変更及び前頭部条件変更を実施。同年9月12日にはまず、前頭下部に補助灯が設置 され、次に集電装置の条件変更が実施され、同年9月20日の深夜帯 にC編成とのすれ違い試験が施行 された。それから約8ヶ月間、16号車を先頭とする上り列車は、補助灯を点灯させ走行していた。

    東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H18.4. 9 11:49 7880A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM ×EX2  1/800sec f5.6 RDPV+1
    東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H18.5.10 13:49 7892A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM ×EX2  1/500sec f5.6 RDPV+1
     露出補正:バラストを評価測光したものから−1 1/3段。  露出補正:バラストを評価測光したものから−1段。

    上の2枚の写真を比較すると、シャッタースピードが速い分、左上の写真の方が右上の写真より前照灯がはっきりと写っている。つまり、 できるだけ可能な高速シャッターを選択するのが良いという結果になる。このアングルで800mmで捉えるには、被写体の速度270q/hは 、1/500secで余裕で止まる。前照灯をシャープに捉えるには、できるだけ露光時間を短くするほうがよい!キーワード はシャープな瞳を意識せよ・・・だっ。

    昨年9月12日から16号車ノーズ下部分に取り付けられていた補助灯は、本年5月9日に撤去され元に戻された。この補助灯は曲線通過速度 向上試験のため取り付けられたとか?浜松以東の曲線通過速度向上試験は、上り列車は夜間が多く、下りは品川(引)や新横浜で滞泊し翌朝 の走行試験が多かったため16号車のノーズ下部分に補助灯が設置されたと聞くが・・・もう一つは、1号車との照度比較。やがて登場 するN700系量産車が、前照灯の形状が変更されていたらもう大変!?このよう な試運転時の車外設備条件変更試験は、絶対に逃してはなりませんゾ・・・


    ■ 夏の光線!
    ▼ 夏の朝は豊橋・・・

    平成18年6月下旬頃には、東京〜新大阪間ふたヤマの走行試験が行われた。本線走行 シーンだけでも一日4回の撮影が可能だ。トウ〜シオふたヤマのオープニングは豊橋の18‰

    東海道新幹線 豊橋U1# 16号車付近 H18. 6.20 7817A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/800sec f8 RDPV+1
      露出補正:画面全体を評価測光したものから−2/3段。

    夏期限定、朝の豊橋18‰アングル!問答無用の800oでZ0を迎え撃つ。光線状態ヨシ!この日のZ0は、東京〜新大阪のふたヤマ。まず、 ファーストショットは豊橋でいこうと決めた。

    夏の朝日がZ0を照らす。この斜光線は、N700系の先頭形状に対して最も良い光線状態といえよう。ベタ順だと顔の形状が反射で飛んでしまう。 この、エレベーション(2)+サイドリアからの 斜光線がGoodだ!

      ここで光の位置の名称について触れておこう。 これは、自然光をライティングに置き換えての例です。

    豊橋に余裕をもって先着するには、 三島から599Aに乗車することが条件だった。 1枚の写真を撮るために最大限の努力をする。これが私のモットーである。いい写真を撮りたければ早起きをする 。新幹線は6時から動いているのだ



    返しの7816Aは米原で撮ろうと思ったが、D1#に531Aが停車しているため仕方なく岐阜羽島へ・・・

    東海道新幹線 名古屋D1# 16号車付近 H18. 6.20 7819A
    Canon EOS 3 EF400oF2.8L IS USM×EX2 1/1000sec f8 RDPV+1
     露出補正:画面全体を評価測光したものから−1段。

    岐阜羽島は、D1#4号車付近から800oで、上り列車を狙うと丁度いいのだが、如何せん24Rの地上信号機が手前に入ってしまう・・・ −10‰を駆け下りてくるのはいいのだが、勾配を強調するにはやはり正面がちに撮らないことには意味がない。う〜んここは空振り。気を 取り直して米原でT5を撮ってから名古屋へ・・・

    名古屋入線は、D1#着だと20‰を強調でき、Sカーブになるのでなかなか面白いアングルが撮れる。進入速度は70q/h程度だが、あえて 1/1000secを選択した。ノーズに受ける反射を気にしたからである。N700系の前照灯は、左右が離れた位置にあり露光時間を長くすると ボディーの色と被ってしまい顔がのっぺら坊になってしまうので要注意! 被写体の顔が命! 特に瞳は 最も重要な部分である。




    ■ 標準系
    ▼ 東京入線・・・

    東京入線を70oで、第8ホーム品川方先端からU18#へ入線してきたZ0を捉えました。えある意味、N700系の先頭が最もよく判るアングルである。 70oのアングルは一目瞭然!16両編成がひと画面内に納まり、遠近感を強調できます。東京入線の最もシンプルでベストなアングルだ。最近、長球 でばかり撮影したせいか、仕上がった写真を見ると何故か新鮮さを感じる・・・。

    東海道新幹線 東京駅U17# 1号車付近 H18. 8. 3 6638A
    Canon EOS 3 EF28-70oF2.8L(70o) USM 1/800sec f8 RDPV+1
     露出補正:画面全体を評価測光したものから−2/3段。

    右の写真を見ると、何故かバックに圧迫感があるのに気づきます。それは、Gran Tokyo South Tower の建屋が進んできたため、その外観が露に なってきた。すぐ後ろのPCPビルと共に今後東京入線の撮影に及ぼす影響は大である。特に晴天時の日の回りが問題! PCPビル とGran Tokyo South Towerの影がまともに影響するので、撮影時間帯や季節が限定されてしまう。従って無難に東京入線を撮影するには、 曇天を選択するというのが、これからは基本になる。今後は、「お手軽に東京入線」ということは難しくなってきたというのが現状である。

    東京駅第8ホーム品川方先端からU18#へ入線してきた新幹線電車を標準系で狙うにあたって、最初は50oでフレーミングしてみました。 ところが・・・両サイドの架線柱などがうるさく、こいつを始末するのにニッパチナナマルを目一杯テレポート・・・おぉ〜これだっ!それが 70oこのアングルでした。障害物はたったひとつ22Rの地上信号機のみ。但し両サイドの 余白がなくなり、たとえ60q/hで入線してくるとはいえ決して侮れない!シャッターポイントは、断路器だ。 目一杯タメ込んでシャッターをきれば問題ナシ!



    平成19年7月1日には、N700系が営業運転を開始しました。これにより300系の廃車が順次始まり、500系も直通のぞみの運用から順次離脱 してゆき、平成20年3月15日のダイ改では、500系の基本運用は2運用のみとなりました。これに対してN700系の基本運用は、Z編成が13、 N編成が7運用です。そして、平成21年3月14日現在、N700系の基本運用は、Z編成が28運用、N編成は7運用と変わっていない。500系の 基本運用は、W編成が2、V編成が4運用となった。