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コラムColumn

タイトル:呼吸用保護具の使用
2021年7月10日

 最近の報道で、建設業の解体業に従事していた作業員による石綿被害の訴訟に対する報道をよく目にします。
 記事を読むと、国やメーカーの賠償責任を認める最高裁判決を踏まえ和解が成立したようで、国では基金を設立し今後の和解に備えるようです。
 この判決は、労働災害被災者救護目的の労働災害保険の延長線的な行為に思えます。石綿被災者及びその遺族が、労働災害保険で補償される金額では、十分な補償と言えないので民事裁判で国とメーカーに対し賠償責任を追及となるようです。労働災害保険の延長線的な被災者救護の意味では有効と思えます。
 労働災害保険の場合は、事業者及び被災者の過失責任はほとんど考慮される事なく労働基準監督署長の判断で要件を満たせば労働災害保険は支払われますが、民事裁判である以上は石綿被災者の権利・義務が十分に考慮される必要を感じます。
 私の元請・下請としての建設業者での経験及び労働安全コンサルタントとして事業場を指導してきた中で、痛感した事は法規制があるにも拘わらず適切な呼吸用保護具を使用してこなかった事が、現在の建設業における石綿被害につながっている事を痛感します。
 国は法改正を行った場合は、官報による公示を行い、リーフレットによる周知活動、所轄労働基準監督署による行政指導を行っています。
 それを受けて、建設業の元請や関係請負人の作業員が労働安全衛生法に従って作業を行っている筈ですが、元請事業者や関係請負人事業者の指導不十分や作業員の個人意思により、本来使用すべき呼吸用保護具を使用しなかった結果が今出ている印象を受けます。
 呼吸用保護具の使用に関しては相互確認の重要性を痛感します。
       
      
タイトル:危険体感教育の体験
2020年10月24日

 本日の午後、横須賀の海上災害防止センターで新規計画中の『事故災害危険体感コースデモ見学会』に参加しました。
 商売柄、墜落・転落災害、機械・重機等への挟まれ・巻き込まれ災害或いは感電災害に対する危険体感安全教育の講師や事業場が自社で行う危険体感教育のプロデュース等を行うことはありますが、石油⇒火災⇒事故・災害パターンの危険体感コースは、多分この海上災害防止センターしか行っていないので、興味はありましたが今まで体感の機会がありませんでしたが、ご招待頂けたのでいい機会と思い参加しました。
 顧問先の事業場で有機溶剤・特別有機溶剤・エタノール等の引火性液体を使用している、或いは化学物質リスクアセスメント訪問支援員を業務の一環としてやっている関係で、危険物の火災や爆発の実体験には非常に興味があり、また、許可なしには上陸不可の『第2海保』に行ける事にも興味があり参加しました。
 本日は雨模様のため、予定された全てのカリキュラムは体験できませんでしたが、火を使ったカリキュラムには非常に興味が持て、楽しい半日でした。
 有機溶剤を使用している事業場で、自然換気を行った場合、気化した蒸気は地表を這い、より低い場所に流れ、最も低い場所に堆積し、条件が悪い場合に火源があると火災に繋がる場合もあることを痛感しました。
タイトル:正常性バイアス
2018年7月29日

 久しぶりに一筆書きたくなるワードを見つけました。
それは社会心理学で使用される『正常性バイアス』という心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のことのようです。

 次の絵は、私のホームページのトップページに挙げているもので、18年間労働安全コンサルタントやった結果痛感する事項です。


 私が伝えたいことをまとめるのにこれだけのスペースを必要としていますが、『正常性バイアス』という一言で説明できるのは少なからずショックを受けました。

 最近の労働安全衛生施策はマニュアルやシステムに走りがちですが、突き詰めていくと人間が行動し、設備機械を動かしており、その過程で事故・災害が発生することを考えると、安全施策に心理学的考察がより必要と思えます。
タイトル:発注者責任について
2018年3月17日

 久しぶりに一筆書きたくなる新聞記事を見ました。
内容は、津市発注の道路工事で労働災害が発生し、その被災者が市の過失に対し損害賠償を要求した裁判で、地裁及び高裁の両方が市側の過失を認め、高裁は賠償金として9300万円の支払いを命じた。市側は上告をせず、被害者に対し9300万円を支払ったが、その費用を労働災害を発生させた事業場の受注した工事代金で相殺を求める通知書をその事業場に送ったというものです。

 新聞記事内容のみの情報なので、詳細は分かりませんが、地裁及び高裁で市側の過失を認めているので、過失はあったものと思われます。市側に過失がないと思うのであれば、上告して争うべきであり、賠償金を業者に振ることは違うと思います。

 今回は発注者責任が問題となっていますが、私の疑問としては労働災害に対する賠償には発注者責任と事業者責任があると思います。

 詳細は分かりませんが、今回の労働災害の発生は事業者の安全配慮不足の様なのに、何故事業者に対し提訴を起さなかったのか疑問を感じます。今回の場合、事業者責任の安全配慮義務不足が大きな原因の様に思われます。わざわざ市を相手取ったのには何か事情があったのですかね、疑問が湧くところです。

 建設工事発注に際して、近年発注者責任が大きくなってきているのを感じます。私も時々発注者責任について研修会や講演を頼まれますが、今回の様な事例で発注者責任を問われる判例が出ている以上、建設工事の発注者としても民法第716条の規定にあぐらをかくことなく考える必要が出てきました。
タイトル:危険体感教育に関する記事執筆
2017年4月4日

 某月刊誌の今年5月号の特集記事への記事執筆依頼があり、『危険感受性向上のための教育・訓練』というタイトルで4千字程度の原稿を執筆しましたので、5月に刊行される予定です。この原稿執筆に際し、誰のための危険体感教育、危険体感教育の本来のあり方等を改めて考えるところがありました。

 災害原因或いは防止対策を事業場や事業場の安全担当者が通常検討する場合、災害発生の直接原因を明確に把握せず、対症療法に走っている印象を受けます。例えば、地球上で生活するに当たり、当たり前過ぎて意識することがまずない『地球には常に引力が働いている』ということです。

 地球の直径は12,700km程度と言われていますので、赤道上では時速1,662㎞/hで自転している計算となるにも拘らず、遠心力で弾き飛ばされないのは地球の引力のおかげです。一方、地球に引力があるおかげで、高所作業を行う場合は墜落・転落災害の直接原因となり、吊荷作業を行う場合は飛来・落下災害の直接原因となり、底面積に対し高さがある物体を置く場合は転倒災害の直接原因となり、掘削作業を行う場合は地山や切羽の崩壊災害の直接原因となり、海中作業を行う場合は潜水病の直接原因となり、冬山での作業の場合は雪崩の直接原因となる等地球の引力は大きく災害に係わっていることへの周知に危険体感を利用する必然性を感じました。
タイトル:危険体感教育の業務受託
2016年10月6日

 事業場より相談を受け、危険体感教育をその事業場に出張し実施しましたが、いろいろ考えさせられることがありました。

 打合せ時点で分かったことは、従業員全員に危険体感教育を経験させたいが、事業規模が20人程度のため、外部研修機関で行なわれている研修スケジュールに合わせ辛く、また研修機関で行われている危険体感教育は多業種の受講者を同時に研修するために一般的(災害が多発している危険要因)な研修内容となり、自社での危険要因の体験とは少しずれているとの印象を持たれていました。その点、当事務所で行っている危険体感教育の特徴は、事業場に出張教育を行い、その事業場で使用している設備における危険要因を洗い出し、危険体感教育項目を協議の上で決定し実施する事です。

 その理由は、長い事業場の安全診断や安全指導の経験の中で事故・災害につながり易い危険要因は、同様の設備を設置していても設備や通路の配置状況や事業場の作業習慣により危険要因のポイントが大きく変わってくることを実感しているからです。

 このような趣旨で始めた危険体感の出前教育ですが、興味を持たれた事業場からの引き合いや実施のご依頼がぼつぼつ来ていますが、安全コンサルタントの視点でプロデュースした危険体感教育、その事業場に潜む九県要因を体感できる危険体感教育というのは今後望まれてくると思います。
タイトル:腰痛について
2015年8月24日

 今年も全国労働衛生週間の季節がやって来ました。今年の重点事項として腰痛が挙げられていますが、腰痛は『人間は2足歩行ができるようになった結果、驚異的な脳の発達と腰痛を得た。』と言われる通り、誰にでも起こり得る疾病と言えます。

 腰痛を防止するためには、生活全般においては脊椎のS字カーブをよい状態に保つ及び骨盤を後傾させない生活習慣、作業中において荷物を持ち上げる場合は、腰を落とし荷物を体に近づけてあごを引き、胸を開いた状態で持ち上げる等の作業方法が推奨されますが、それには脊椎は首を後ろに反らすと連結力が強固になり、首を前に曲げると不安定で弱くなるという人体の構造的理由が考えられます。このことは実際に首を後ろに反らす、或いは前に傾ける等の動作をするとなんとなくでも感じることが出来ます。

 テレビの中継等で、重量挙げの選手がバーベルを挙げる際、顔を上に向けて(頸椎を強く後ろに反らせて)いる姿を見たことがあると思います。腰に負担がかかる前に頸椎を反らせることで、背中の筋肉が緊張し、脊椎がいい状態のS字状に保たれます。この結果、脊椎への負担が軽減されるからです。背筋をゴムバンドに例えると、縮んでいる状態を伸ばすのに無理な力は掛かりませんが、伸びた状態のゴムバンドを余計に伸ばすと最終的には破綻して切断してしまいます。

 この原理を利用すると、ふだんから体に負担がかかることをする前に、首を上に向けて立ち上がる習慣を付けることにより、ぎっくり腰等の腰へのダメージを予防できることになります。

 しかし、腰痛疾病は繰り返し発症しやすく、また慢性化しやすい特徴を持っていますので、複数回の発症経験者は腰痛バンド等の使用により、症状の軽減化或いは予防を心掛けることが望まれます。

 基本的な考え方として、人間の意志で防止が困難なことは物(装置・用具・防具等)を使用する・使用させる意識の成熟が必要です。
タイトル:安全管理特別指導について
2014年4月22日

 当事務所では、ご縁がありこの5年間で7事業場の安全管理特別指導事業場改善のお手伝いをさせて頂きましたが、どの事業場も最初の一言は『なぜ当社が指定されたの?』『この一年間に何をすればよいの?』等の困惑の言葉だったと思います。

 所轄の労働基準監督署の担当官から突然貴事業場を安全管理特別指導事業場に指定します、と言われてもどこの事業場でも『青天の霹靂』でビックリ物だと思います。

 安全管理特別指導(略称:安特)の指定には基準が決められており、度数率が高い事業場、労災保険の収支率が悪い事業場、死亡・重大災害を発生した事業場等の安全水準が低いと思われる事業場が所轄する事業場の中から選ばれます。

 指定された事業場からすると、なぜうちの事業場がと思われるかも知れませんが、間違いないことは安全水準が同業種の全国平均より下回っており、災害が多発している事実です。

 事故・災害が発生する原因や要因は千差万別ですが、特に注意を払う必要があるのが『事業場に潜む、潜在的な危険要因・有害要因』だと私は思います。健康面でよく問題となる『隠れ肥満』『隠れ高血圧』等と同じく表面に出難いですが、これを排除しない限り同種災害は繰り返されます。安全指導をやっていて時々見受ける事業場に、安全衛生管理体制は確立され、ルールや書類等は表面上は整備されているにも拘らず同種災害を繰り返す事業場がありますが、まさにこれに該当します。

 安特指定を受けた事業場の改善のお手伝いをするに当たり、安特に指定されると色々大変なこともありますが、貴社の安全衛生管理体制を多角的に見直すことが出来るよい機会と捉えて下さい。また、社外の専門家(労働安全衛生コンサルタント)は潜在的な危険・有害要因の特定或いは安全衛生管理体制の見落とし点等を的確に抽出するプロフェッショナルなので、費用対効果から考えてもお得ですという話をいつもするのですが、その本心は安特にかかる安全衛生管理体制を改善するということは『自社のやぶ蛇となる暗部と潜在的な危険・有害要因を排除すること』に尽きると思います。そのためには悪しき作業習慣の排除が第一だと私は思います。
タイトル:危険感受性向上教育指導員研修会
2008年12月27日

 厚生労働省委託事業で、事業場の安全衛生担当者等を対象とした『危険感受性向上教育指導員研修会』を労働安全衛生コンサルタント会で開催する運びとなり、その研修の講師を担当する事となりました。
 この研修会の目的は、職場に存在する様々な危険を具体的に示し、『見て、聞いて、感じる』という人間の基本的な動きを通じて直感的な理解を促し、危険感受性向上を高めることにあり、テキストを用いた座学で学ぶのではなく、疑似体験により直感的な教育『百聞は一見にしかず』を中心的な柱として行うとのことですが、初めのうちは試行錯誤の連続でした。でも、やって行く内にこの研修は知識と知恵の隙間を埋めることが出来る教育だと痛感しました。

 私は脳に関してはまったくの専門外ですが物の本によると、脳の役割は文字情報を取り扱う左脳と五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)からの情報を取り扱う右脳があるそうで、左脳にはパソコンで言うところの仮メモリーがあり、一旦情報をそこに仮置きした後に情報整理後記憶する構造らしく、一方右脳は五感からの情報をダイレクトに右脳に記憶し、パソコンで言うところのHDやDVDと同様の役割を果たすそうです。

 この研修は『見て、聞いて、触って、感じる』という体験をもとにしていると言うことは、まさに右脳へのダイレクトなアクセスにより、ブレーンストーミングが可能なことを感じました。研修後のアンケートを見ても『普段忘れている事等を思い出した。』『自分が気がついていなかった事があって、大変参考になり安全指導に寄与できると感じました。』『時間がかかってもよいので、もっと色々な体験をしてみたい。』等の感想がある通り比較的素直に記憶につながった様です。企業内において人間関係が希薄になり十分なOJTの不足が指摘されている今、今後有効な教育手段になりうる気がしました。
タイトル:建設業の労働災害
2008年3月7日

 建設業労働災害防止協会から『建設企業の安全衛生管理活動等に関するアンケート調査結果』が発表されたのを読み感じたことですが、総合工事業者及び専門工事業者共に厳しい経営環境のもとでの生き残りに憂慮しているのがアンケートから伺えます。

 総合工事業者及び専門工事業者に共通する問題として以前から囁かれていた『団塊の世代の大量退職によるノウハウの継承』と『努力義務となったリスクアセスメントの実施』が顕著な形でアンケート結果に反映されてきたように思われます。

 特に企業内における安全衛生に関するノウハウの蓄積度は労働災害の発生に直結するために切実です。アンケート結果によると、総合工事業者では約90%の企業が何らかの形で安全衛生を担当する部署を設置しています。一方、専門工事業者では約63%が何らかの形で安全衛生を担当する部署を設置しているということは、設置していない企業が37%存在すると考えられます。従業員30人未満の事業場に限定すると約73%が設置していないようです。設置していない理由や事情はそれぞれあると思いますが、事故・災害が発生した場合いえることは、発生した瞬間にそれらの理由や事情は吹き飛んでしまい、事故・災害が発生した事実のみが残り事業者責任が発生することです。

 建設業の平成16年の事業所数(564,352社)を規模別に分類した総務省統計局資料によると、事業所構成率は1~4人規模が52.9%、5~9人規模が26.0%、10~19人が14.0%、20~29人規模が3.6%、30~49人規模が2.1%、50~99人規模が1.0%、100~299人規模0.3%、300人以上規模が0.05%で、実に建設業事業所の96.5%が従業員30人未満の企業であること。及び、平成16年規模別死傷災害発生状況(安全衛生年鑑 平成17年版)資料によると、死傷災害発生構成率は1~9人規模が63.0%、10~29人規模が26.2%、30~49人規模が6.3%、50~99人規模が3.0%、100~299人規模が1.3%、300人以上規模が0.2%で、実に建設業事業所で発生した死傷災害の89.2%が30人未満の事業所で発生していることを考えると本当に安全衛生活動が必要な事業場にその体制がないことには問題があり、今後の課題である気がします。外部のコンサルタント等の力を借りて自社の安全衛生水準の向上を図ることもひとつの方法だと痛感します。
タイトル:不安全行動とヒューマンエラー
2007年5月10日

 労働災害の直接原因として不安全行動とヒューマンエラーが挙げられます。では、不安全行動とヒューマンエラーはどう違うのでしょうか。混同されること多いようですが、実は基本的に違うのです。職場の安全対策を実施するに当たり、ヒューマンエラーの防止のための実施事項に不安全行動の防止対策を当ててしまう或いはその逆を一生懸命実施しても効果が得られない訳です。

 その理由は、『不安全行動』と『ヒューマンエラー』の定義を知れば前記の事がおのずと理解が出来ると思います。『不安全行動』とは『労働災害の直接原因となった作業員の故意の行動』と定義され、『ヒューマンエラー』とは『思い違いや勘違い等の故意でない人間の行動ミス』と定義されています。『不安全行動』と『ヒューマンエラー』の大きな違いは、故意の行為か故意でない行為かの意識の差です。

 故意の行為は、行動規範や教育による安全意識の向上により大部分は理論上防止が可能です。にも拘らず、人はどうして滑った・転んだ或いは落ちた等の同種災害を繰り返すのでしょうか。一方、故意でない行為は、間違いを起こした瞬間にミスを起こしている事自体を自覚しておらず、防止する事は非常に困難と言えます。例えば、朝出かける時に財布や携帯を忘れる或いは友達との約束を度忘れする等の経験は誰でもあると思います。これも立派なヒューマンエラーです。人は意識外の行動については責任が持てないのかもしれませんが、ヒューマンエラーが原因で事故・災害が発生することは問題です。

『不安全行動』と『ヒューマンエラー』は安全管理に携わる者の永遠のテーマかも知れません。
タイトル:危険を知らせるシグナルをキャッチ
2006年7月11日

 職場の中を見渡すと、災害につながりそうな危険要因が意識しないと見えない形で点在しています。職場で安全に働くためには、それらの危険要因を意識的に排除する習慣を身につけることが大切です。

 仕事を行っている最中、特に工事現場や工場などでは、誰でもヒヤリあるいはハッとした経験があると思います。これは事故や災害が起こる一歩手前の貴重なシグナルです。このシグナルを放置すると、事故や災害が発生する確率が急激に増えます。

 これまで労働災害を少しでも減らすために、さまざまな設備の改善や不安全な行動の防止対策などが取られ、成果を上げてきました。しかし、それのみでは立ち行かなくなってきています。これからは従来型の安全対策に加え、ヒューマンエラー、すなわち思い込み・勘違いによる行動ミスへの対策を講じることが職場の安全対策に欠かせない要因となって行きます。ヒューマンエラーは思い込み・勘違いという人間の特性に起因するため、100%防止することは困難と思われます。人はつい安全よりも手っ取り早さを優先した行動を取ってしまったり、思い違いや勘違いもします。何かに意識が集中すると周囲への注意が散漫にもなります。

 「人間は間違いを起こす動物である」という前提のもとに、許されない失敗を起こさない・起こさせないという職場の環境をつくることが職場の安全対策には欠かせません。
タイトル:過労死について
2005年12月21日

 新聞紙面で「過労死」という言葉を見かけるのが珍しいことではなくなってきた今日この頃です。すでに社会問題となって久しい過労死問題ですが、過労死をめぐる環境はどのように変化したのでしょうか。

 平成13年に認定基準が緩和され、過労死は認定され易くなったものの、それでもその認定率は4割弱といわれています。こうした底なし沼から抜け出すために、一番に望まれるのは作業環境や作業条件の改善ですが、まずやれる身近な対策としては、労働内容や労働時間及び健康状態の明確な資料を揃えることが大切だと思います。

 漠然とした思いではなく数字としての記録を残すことにより効果的な自主管理の指標となります。また、後日業務上疾病を主張する場合の証拠にもなり得ます。ノルマを達成するため自分の能力を超えるほど働いた果てに待っているのが「過労死」だったという現実には、割り切れないものがあるなというのが私の本音です。
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