今回のJ1編成現車走行試験で最初にテストを行ったのが車体傾斜装置である。東海道新幹線では、新横浜以西の本線においては 、基本的に、 最小曲線半径を2500mとしている。この曲線が約3分の1あり、乗心地の観点から走行速度を270q/hから255q/hに減速しており、到達時分、 エネルギー消費の観点からも課題の一つとなっている。このため、最高速度での走行を可能なものにするため、車体傾斜装置の開発を行ってきた。 |
![]() |
---|
車体傾斜装置自体の開発は過去、300Xプロジェクトなどで実施され完成度はかなり高いものとなっている。そこで、この技術をベースとすれば、 曲線での乗心地などを確保することが可能と判断し、 この開発した新ATC装置ならびに制御伝送装置と 組み合わせ、走行地点の情報について新ATCと同一の情報をもらい制御していくことに取り組んだ。 |
新ATC走行試験を終了したJ1は、次なるステップ“J1編成走行試験”へと移行していった。その手始めに車体傾斜装置を搭載して、徐々に速度 を上げてゆき、最高速度に至までの段階を確認し、その性能的効果の確認をするテストを行った。
![]() |
---|
▲ R2500の200oカントをゆくJ1。車体傾斜装置は、新ATC装置、制御伝送装置と組み合わせて 空気バネで車体を1°内軌道側に傾斜させるシステム。 |
車体傾斜装置の耐久性を確認をする試験。営業列車の空きスジを利用し、営業列車同様の速度で走行しながら、様々な角度からのデータを 収集するのが目的。これと併用して制御伝送も行われた。
![]() |
---|
▲ 制御伝送装置の反応を確認するため、1,2,6号車外板側面には、左右4箇所の撓みを測定するための検知線が取り付けられた。 |
制御伝送装置を1〜6号車間に設置。この装置は新ATCによって自列車の走行位置を把握し、カーブに入る手前から車体の傾斜を空気バネ に指示。先頭車両〜最後尾車両まで順番に位置情報を伝え、正確に傾斜を連続させていく仕組み。
車両を制御する指令は、引き通し線と呼ばれる電線によって編成内の各車両に送られているが、制御が高度化するのに従い電線の数は 200本以上に達している。 この指令をシリアル伝送によって各車に送ることにより電線の数を大幅に 削減することができる。これを車体傾斜装置ならびに新ATC装置と組み合わせることによってよりスムーズな制御システムを確立することができる。
![]() |
---|