301A515.4kmの旅


《ここでは、301Aに乗車して東京〜新大阪間の旅を楽しんだ時のことを紹介します》


◆平成9年11月29日の500系東京乗り入れに伴い 、301Aがダイヤから抹消される ことになった。これは、私にとって一大事!301Aは特別な存在なだけに、どうしても記念乗車する必要があったのです。



301A乗車当日の朝

◆平成9年10月10日 この日、家を4時15分に出発した。
  東京駅の新幹線改札口は5時30分に開く。我家は東急東横線沿線で、新横浜に15分 もあれば行けるのだが、この場合は東京からフル乗車しないと意味がないため早朝の出発となった。しかし、マイタウン日吉駅の始発は下り 5時02分、上り5時21分。隣駅の元住吉までタクシーで行き、上り5時始発に乗れるがこれとて東京5時30分には間に合わない。そこで、 JR南部線の矢向駅までタクシーで行き、川崎経由で東京入りするルートを選択。矢向駅からの初電は、4時29分、続いて39分、49分とあり、 いずれも川崎から京浜東北線の大宮行きに接続している。4時49分発に乗れば東京には5時25分に到着できる。タクシーを捕まえるのに15分 のロスタイムと日吉〜矢向までの所要時間を10分とすると4時15分に出発とマイコムトラックが弾き出した。

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  東京駅第8ホームに5時31分に到着。16#には、前日A12でホーム 上げしたJ29が いた。 本日は、A13に充当。 同じホームの17#にはなんと、 あのX1がいるでは ないか。青ランプまでちょっと時間があるので第8キャビンに寄って朝のご挨拶。

発 車 前

5:40
  各係員を配置させる業務放送が流れる。
5:45
  「業務放送トーロク番301A準備ができましたらドア扱い願います…」
  「お待ちどうさまでした。ご順にご乗車下さい。のぞみ301号新大阪行きです。」
  M氏のアナウンスが第8ホームに流れ、ドアーが開く。いよいよ乗車、8号車17番A席は重いカメラ器材を座席の後ろに置けるため 、席任でマルスを叩いてもらっての購入である。
5:5930
  レピーター点灯! 発車ベルが第8ホームに鳴り響く
5:5953
  ドアーが閉まる。側灯滅! ちょっと早いのでは・・・(間)


301A発進!

6:00
  ジャスト、独特のタイフォンと共に301Aが発車!実にスムーズな滑り出しだ。発車と同時にSPSパーサーによる車内改札とおしぼり サービスが始まる。のぞみの営業運転開始当時は車内改札終了後におしぼりとメニューが配られた。しかもこのおしぼりはモノホンのタオル おしぼりだった。今は厚手のペーパーおしぼりに変ってしまったのが実に残念だ。回収やクリーニングの手間を考えると当然のことだろう。       
  私自身301Aに乗車するのは 今回で3度目、前回の乗車が平成5年10月11日だから実に4年ぶりだ。しかも東京〜新大阪のフル乗車としてはこれが初めてとなる。       
  8号車には私を含めて10数名程しか乗車していないため 、のぞみチャイムが鳴る前に車内改札が終了してしまった。普段は 客の殆どがビジネスマンのこの列車も、今日は休日とあって大半が観光客のようである。

6:05
  品川付近 旧東一両の空地では、品川駅新設工事がようやく着工。
6:09
  12KP付近ここから多摩川の手前までが都内で唯一の ATC170信号区間。制限解除!馬込架道橋に差し掛かるとVVVF独特のモーター音が高鳴る。
6:10
  多摩川橋梁、ここを渡ると列車は110q/hの制限速度で左に大きくカーブする。 有名な新丸子東の大カーブである。かつては有名な撮影ポイントだったが・・・
6:12
  日吉トンネル、出口付近に20KPがある。ここを通過 するとチャイムが鳴り新横浜停車の案内放送新横浜停車の案内放送が流れる。
6:1545
  301A唯一の途中停車駅である新横浜に到着! 列車が止まった瞬間、時計の針は6:1545を指す。なんと±0の定着。素晴らしいの一言!
6:1635
  −5秒の定発。ATC270信号点灯!一気に加速する。第一大和トンネルの手前あたりから本格的に270q/h走行が始まり景色の流れが 一段と速くなる。8号車は駆動モーター付きのM車なので嫌う人もいるが、逆に私はモーター音で力行状況が良く判るので好んで乗る。                     


ホームグラウンド

6:22
  相模川橋梁を渡り301Aは平塚市内の北側を突き進む。やがて車窓右前方にカナディアンロッキーをイメージし た日向岡住宅が見え、 そしてすぐに出縄トンネルを抜ける。  
6:2945
  酒匂川橋梁手前にある鴨宮保守基地付近 でやや減速!10‰の勾配を駆け上がるとホームグラウンド小田原である。

301A車窓から、小田原通過!


6:30

  ホームグラウンド+ 30秒で定通!小峰トンネルを抜けると待望のワゴンがやってきた。やっと朝飯にありつける。デビュー当時は車内改札後にタオルおしぼりと一緒 にのぞみ301号の専用メニューがに配布されたのだが 、今は各座席の背もたれの網ポケットにメニューが入れてある。早速ミックスサンドセット とコーヒーと・・・何故か、いつものくせでビールを注文してしまった。当然銘柄指定だ。
  これから暫くの間はお食事タイム・・・おっといけない、その前に写真を一枚!なんてやているうちに、いつの間にか熱海、三島を通過して いた。
6:44
  浮島付近、 晴れていればこの辺りは富士山が一番近くに見える絶好の場所だが、今日は雲に覆われ全然ダメ!       

浮島付近 富士川橋梁付近
▲ 車窓から ▲

6:4615
  新富士を定通するとすぐに富士川橋梁に差し掛かる。車窓からは裾野が一番 広がった富士山を眺めることができるのだが ・・・実際に富士山を見ながらの朝食は贅沢な話である。そんな訳で暫くは車窓を楽しみながらのお食事タイム!

6:54
  静岡定通・・・すぐに安倍川橋梁を渡り左にカーブすると今度は車窓左後方に富士山が・・・見えるわけないか!


第二のホームグラウンド

7:09
  天竜川橋梁 まもなく浜松である。浜松通過時にちょっと変った写真を撮ろうと思っていた。
7:11
  浜松通過 +45秒ちょっと早通かな?U1 には493Aが 退避している。西浜松付近を過ぎU2付近で更に加速・・・ やがて車窓には浜名湖が 広がってくる。ここは第二のホームグラウンドである。

浮見堂
<冬> 浮見堂
<夏>
▲ 浜名湖・浮見堂 ▲

7:14
  第三浜名橋梁、いつもはここを7:15に通過なんだが、1分早通!? 左手に東海道本線の新居町駅を見ながら右にカーブしつつ20‰の 勾配を一気に駆け上がる。この途中の右側に慰霊碑がある。 東京〜新大阪間の略中間地点だ。これから269KP付近までの直線は、連続アップダウンが続く。そしてこの直線の終わり が269KPだ。 
7:2015
  豊橋+15秒 で定通!豊橋の手前、269KPを過ぎたあたりから急減速。豊橋駅構内徐行。すぐ前を走る列車がないので、おそらく道床交換か何かの関係で、 臨時120速度制限信号が出ていたのであろう・・・?浜松の早通もこの臨速制限を見越してのことだろうか・・・そして再び加速した。ふと、 車内の静けさに気づき辺りを見回すと、なんと殆どの乗客が寝ているではないか。
7:30
  三河安城を通過すると運転台のモニターには名古屋 通過の信号現時が段階表示される。 ATC「270」→「255」→「230」→「170」→「120」→「70」。


名古屋通過!

名古屋駅D0#の発車表示機 H 6. 7.21 名古屋を通過する301A J12

7:35
  東海道本線の笠寺駅の横を過ぎすぐ本線をオーバークロス。更に国道1号線をオーバークロスする第2六番町架道橋付近手前で減速開始!  まもなく名古屋である。通常の列車であれば停車案内の放送が流れるが、この列車に限っては通過のためそれは無い。  
7:38
  名古屋球場付近。車内は静まり返ったままだ。普通はざわめきを増し、デッキへと乗客が移動し始めるのだが・・・ATC120信号!  名古屋への進入は停車列車と同様に減速。そしてATC70信号・・・これは名古屋駅構内の本線信号がATC70信号のためである。 301Aは通過のため当然ながら ATC30信号と停止信号の現示表示は出ない 。平成5年のGWにはD0#に駅員が数名出ていた のに対し、今は3名で通過監視。この珍事“名古屋飛ばし”も間もなく5年と8ヶ月24日でフィナーレを迎えようとしていた。
7:3940
  名古屋定通!+ 5秒。運転士のマニュアルオペレーションによって70q/hでゆっくりと通過・・・D1#には65Aが 停車中だ。名古屋通過後は一気に加速する。今日はこれと似たようなパターンを豊橋でもやっていているのでなんだか変な感じだ。
  ダイ改後の1001Aは名古屋停車なのでこの光景はのちに特定マニアの間で貴重なモノとなるはず・・・。そろそろ座ってるのもあきてきた ので、サービスコーナーに 行って暇つぶしをすることにした。


関ヶ原越え!

7:51
  その後301Aは快調に走り、木曽川、長良川、揖斐川と渡ると、やがて左車窓に大鳥居が見えてくる。南宮大社の大鳥居だ。一度ここの 秋祭の光景を新幹線と一緒に撮影したかったのだが既に車窓よりも高い防音壁ができていてTHE END!
  これより、右車窓に東海道本線を見ながら山並へと進入。いよいよ難所関ヶ原越えだ。下り勾配の藤古川橋梁から右にカーブしながら一気に 20‰を駆け上がる! ここは有名な390KPだ。 スピードに乗った301Aでは裏スジがスーっとなる!? これは男にしか解かるまい! ここから直に山中トンネルを抜け東海道本線をアンダー クロスすると関ヶ原トンネルが迫る。ここを抜けると右車窓には、伊吹山・・・やはり見えない。琴岡、加勢野、横山トンネルと抜けると田園地帯 が広がり米原へと接近!
7:5745
  +15秒で米原定通!左に カーブし、暫く行くと列車は東海道新幹線内で最も長い直線区間に入る! 411KP〜456KPまでの直線は 270q/hの安定走行区間だ。300Xや、 かつてJ0が、それぞれの最高速度を記録した 高速試験区間である。やがて右車窓に東海道本線の野洲電車区が見え、そして積水化学の栗東工場が車窓一杯に広がってくる。すると、何故だか 自然と左車窓へ目が向くのだ。気になるのは、名神高速道路の更に奥にある、見えるはずのない栗東トレセン。おっといけない!栗東信号場の通過 タイムのチェックを忘れたっ!!


京都も通過 …!


8:10
  瀬田川を渡り音羽山トンネルを抜けると減速。東山トンネル手前で更に減速すると京都には停車列車同様70q/hで進入。考えてみればこの 301Aも同じPRCを 使っているため進入速度が同じなのは当然のことと言えよう。 
8:1530
  京都+ 15秒での定通!進入速度が同じならその逆もまた同じである。通過後すぐ車内アナウンスが流れる。
  「ご案内いたします。列車は只今京都駅を時刻通りに通過しました。後14分程で終点新大阪に到着します・・・どなた様もお忘れ物 なさらないようお支度願います。」
  これは、301Aならではの車内アナウンスだ。歴代新幹線の中で、区間走行距離及び時間が最も長いのは、この301Aであった。


大一両に500系

8:25
  大阪第一車両所定通! 既に500系503Aは7:3830に出庫した後である。車窓には9月17日 から500系東京乗り入れに伴う乗務員訓練運転を実施中のW2が一際目を引く!   今日はこの列車の後からやってくる31AがX1なのでこれを新大阪で撮ってから、976Aで上って来るW2を小田原で撮る予定でいる。
  京都通過後ややざわつきはじめた車内にのぞみチャイムが鳴り終着の案内放送が流れた。列車は、すでに減速しており、301Aの 515.4キロの旅もまもなく終わろうとしている。気の早い乗客はデッキへと向かい始めた。折角のグリーン車なんだからゆっくりしていれば いいのに・・・と思うのは私だけか?私はもったいないので停車するまで座っていた。


終    着

8:30
  新大阪4#に定着!列車から降りると早速301Aの記録となる写真を撮りはじめた。ここからが私にとって忙しい時間帯だ。 東京〜新大阪間所要時間2時間30分は、今や当たり前!しかし、改めて301Aに乗車して300系そのものの車両性能の向上と車内サービス 向上が著しいことに気がつく。いわゆる“新幹線進化論”である。車両は当初、最高速度走行時にコーヒーがこぼれ、車体そのものが バイブレーションを引き起こしたが、今はなんでもない。ぎこちなかったパーサーによる車内改札もスピーディーで丁寧!彼女達そのものが業務に 慣れたせいなのか、違和感はナシ! 客の立場からするとヤローのむさ苦しい姿より、やはり女性がスムーズに対応してくれた方が当然のこと ながらイイ。これが本音である。

  こうして、私自身に様々な影響を与えてくれた新幹線史上異例の301Aは、平成9年11月28日の運転を最後に私の心のアルバムに深く 刻み込まれたのでした・・・。


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