◆ 超望遠レンズを使用した撮影・・・ ◆
■ 未知なる世界への挑戦!
ヨンニッパ
こいつを初めて手にした時、それは私にとって新幹線の新なプロローグでもあり、未知なる世界への挑戦でもあった。1987年初冬、
A.プロストが初めてホンダエンジンを手にした時、
「こんな気持ちだったのかなぁ・・・」
とふと思った。それは、未知なる世界と確かな手応えであった・・・
このレンズの魅力はなんといっても、テレコンを装着することによって最大800oに化ける点だ!その反面、非常にシビアなピントワーク
が要求される。しかし、この世界に一歩足を踏み入れると、きっとあなたもトリコになってしまいますヨ!
▼ 超望遠レンズの画面効果
この手のレンズは一般的に、野球やサッカーなどのスポーツ選手の表情を撮ったり、野鳥の撮影や盗撮なんかにもよく使われます。 特に、モータースポーツなどでは必要不可欠なレンズです。では、鉄道写真ではどうか・・・? 在来線に比べて撮影ポイントの少ない新幹線に おいて、僅かな隙間から被写体を抜き撮ることができるため、非常に効果的な武器になるのです。武器は取り扱い方を間違えれば、最も危険なモノ。 こいつも同様、取り扱うリスクが大変大きい・・・。
▲ @ 東海道新幹線 米原駅 D1#8号車付近 H14.10.14 11:27 10A W 1
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中望遠レンズ編のページで85〜135oのレンズはよくポートレートなどに使われると書きました。ポートレートとは、バックを綺麗に ぼかし人物を強調した作品です。超望遠レンズで列車を撮るとこのポートレートと同じ効果が得られます。つまり列車の顔の表情を強調し、迫力の ある走行シーンを前面に引き出せます。作例@を見ていただければお解りかと思います。
超望遠レンズの威力!
▲ A 山陽新幹線 新下関駅 U1#3号車付近 H13. 8.15 15:32 9552A B 1
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▲ B 山陽新幹線 福山駅 D1#1号車付近 H14.11.22 13:30 370A E 1
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▼ シビアなフレーミング
原板をプリントするとき、画面の不要な部分を取り除いたり、ある部分をクローズアップしたりすることをトリミングと言います。 超望遠レンズでの撮影はこれを撮影時にやってしまいます。
特に新幹線の場合は、撮影障害物が多い。そこで余分な背景を入れずに、最初からトリミングした状態で撮影できることが魅力です。しかし、 その分シビアなフレーミングが要求されます。
作例Aは、デビューして2ヶ月のB 1。まだB編成自体の定期運用もなく、山陽区間を多客臨で走行していた頃のモノです。狙い としては、新関門トンネルからの飛び出しを全景で捉えようとしたのですが、15時を過ぎるとホームの屋根の影が伸びてきました。 よって、フルショットは諦め、思い切って400oのミドルショットに勝負を賭けたのです。ともかく、列車をフレームアウト寸前まで引っ 張ろうと心掛けました。
結果としてスピード感が強調される作品に仕上がりました。これが私にとってB 1の初ショットとなりました。また 、456でのラストショットとなってしまいました。
作例Bは、Aに比べてスピード感こそ伝わってこないが、列車の全景を綺麗に捉えている。福山駅D1#1号車付近からの400oショット は、短編成を捉えるのに適している。特に晩秋の斜光は、この上ない自然の恵みである・・・
400mm で 流 し 撮 り !
▲ C H12. 7. 8 19:03 1027A C 1 Canon EOS 5 EF400o F5.6L USM 1/15sec f6.7 RDPU+1 ▲ D H12. 7. 8 19:14 981A T2 Canon EOS 5 EF400o F5.6L USM 1/15sec f5.6 RMS(P-4) |
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▼ 夕暮れ時の撮影は楽しい
中望遠レンズ編のページで、台風一過の多摩川で撮った“J 1の夕ギラ”を解説しました。ここで取り上げている作例CDは、その 続きで、撮影場所を河川敷から丸子橋の歩道に移動して400oで狙ってみました。これがまたピッタリはまるんですよ。
Cは略、日の入りと同時刻の撮影 でISO200でなんとかいけたが、約10分後のDではフィルムをRMSに入れ替えISO1000で撮影した。この二つを比べると・・・まず、 シャッターポイントが違うことが解ります。Cは川の色が目を引いたので橋梁の真ん中のあたりでシャッターを切っている。Dはそれより も30m程前になる。バックが明るかったのと川の色がなくなっていたためである。
ここからの撮影距離は約400mだからピントに関しての問題はない。安定感からみると、 橋脚の写っているDの方がいいんだが、Cの方がなんといっても川の水の色とのマッチングがいい。双方とも、被写体そのものの色が違う し形も違うので甲乙つけ難い。ともあれ、夕暮れ時の撮影はやっていてとても楽しいのは事実だ。ちなみにここはATC120信号だから、 33m/s 従って1/15sec で2.2m動く計算になる。撮影距離が約400mあるので、実際に流すスピードはそんなに速くはない。
* 多摩川橋梁撮影豆知識
下り列車は、この先の新丸子の大カーブが110q/hの速度制限のため、110q/hで走行していると考えて よい。上り列車に関しては、東京都の河川敷付近に差し掛かった辺りが制限解除になるため、中 には急加速する列車もある。水流部分上ならば110q/h。ちなみにATC170。多摩川橋梁の全長は408mだ。
粒状性について
▼ 粒子の違い!
上の2つの写真を比べるともう一つの点に気が付きます。DはCに比べて粒子の粗さが目立ちます。これは増感を含めたフィルム感度
による違いです。一般に低感度フィルムは粒状性に優れており、
いわゆる微粒子。大きく引き伸ばすことを前提として撮影する場合や精密描写などに
適しています。
逆に高感度フィルムは粒状性が悪いのが欠点とされています。スポーツシーン
や夜景などをあまり粒状性の良し悪しに関係のない新聞等に掲載する写真撮影に多く使用されます。現在ではデジカメが主流ですが・・・
色の飛び
▲ E 東海道新幹線 新大阪駅D2# 1号車付近 H17. 3.20 7:16 9860A R10
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▼ パールホワイトカラーは飛びやすい・・・
超望遠レンズのでの新幹線撮影は、被写体の迫力が強調され写真そのものにインパクトがつく。しかしその反面、“被写体そのもの の色の飛び”が他のレンズより前面に出るため特に注意しなければならない。
晴天下での撮影は、きちんと背景にも太陽光が当たっていれば多少絞り気味でも問題はないのだが、曇天下の場合は以外にハイライト
とシャドー部分のコントラストが出てしまう。これは被写体がパールホワイトカラーという点にある。白にメタリックの入ったこの色は、曇天光
にも過敏に反応し、ハイライトを強調してしまう。“博多開業30周年記念号”として外板塗装が施されたR10編成を撮る上で一番のネック
がこの“色の飛び”だった。これを抑えるには、アンダー露出で被写体を捉えればいいのだが、0系の場合はスカート部分
の“青”を無視することができない。最終的に私が下したのは、適正露出−1/3! 仕上がった原板を見
て・・・
「う〜ん、もう−1/3段が良かったかな?でもそうすると“青がくすむ”なぁ・・・」
と、まぁこんな感じだった。歌にもあるとおり“青いひかりの超特急!”というように0系
は“青”を無視することはできない。
▲ F 山陽新幹線 相生駅D1# 1号車付近 H16. 3. 7 11:06 636A R65
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▼ ライトグレーカラーでは・・・
これが、ライトグレーの車体であれば適正露出をきちんと測って あげればOKなのだが・・・右の写真は相生でT4を待っていた時、突然の通り雨ならぬ通り雪に見舞われた。その時現れたのがWR編成のR65だった。 突然の通り雪、即、出た目から−1/3に露出を合わせ、U0手前の転てつ機に置きピンした。
この通り雪は、雪というより画面にもたらす影響としては、どちらかというと雨に近いものがある。雨の日は 全体にコントラストがなく、めりはりのない画面になりがちです。そこで少し露出不足気味に撮ると画面にめりはりがつきます。 “出た目から−1/3”にしたのはこのためです。ちなみに被写体がパールホワイトカラーなら−2/3〜−1となります。当然このような悪天 候では、絞りは開放ですからシャッタースピードでの調整となります。
▲ G 東海道新幹線 掛川〜静岡 用宗T付近 H16.11.24 10:55 7911A J 1
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▼ 車両形式による色の飛びの違いT
これが、300系となると思い切ったことができます。E同様に正面から被写体を狙った場合、側面などの他の部分を無視し、顔の露出に 合わせてやる。この場合はバラストのスポット測光から−2/3だった。ある程度側面の露出を保とうとすると完全に顔の色が飛んでしまう! 晴天下であれば、バラストの反射によって車体側面に光が当たるので画面効果が得られるのだが、曇天下ではこうするより仕方ない。まぁ、 スカートの色も0系と違い、パールホワイトなのでその点は楽かなっ。
▲ H H16.11.24 13:09 126A C 1 Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX1.4 1/800sec f4 RDPV+1 |
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▲ I H16.11.24 13:11 7910A J 1
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▼ 車両形状による色の飛びの違いU
右の写真HIは全く同条件で撮ったものです。厳密にいうと約2分15秒の時間差と、実際の露出が1/3程違う点である。HはIに比べて −1/3段の露出にも拘らず、顔の色の飛びが大きいのは一目瞭然!スラント形の300系は、R型のノーズ形状。対して、エアロストリーム形の700系 は、逆R型ノーズ形状。つまり、前部標識灯部分が反り上がった格好になっている。そのため上部からの光の反射が大きい。これは、700系の撮影 上のウイークポイントでもある。
超望遠レンズでの撮影の場合、列車の顔の部分は画面の1/2を占める率が多い。特に700系の場合列車側面の露出を生かそうとすると、どうしても 顔の部分が露出オーバーになってしまう。そこで中途半端なことを考えずに思い切って顔に露出を合わせる。バラストの測光値を基準にしている のはあくまでも目安で、最終的な露出は経験と感がものをいう!
そして、特にミリ単位の超望遠レンズの世界でシャッターを切る瞬間は、冷静にイメージトレーニングをし、コンセントレーションが クライマックスになるように自分をもっていくのである。常々思うのだが、写真の出来はいかに集中できたか・・・と いうことだ!
それとは対照的にこんな言葉もあるからね!
He has very poor powers of concentration, so he can’t stick to anything・・・
* 補 足
700系に比べてズバリ300系は撮りやすい。同じ300系でもJ 1と量産車とで比較すると、クサビ形状の入った量産車の方が、丸みの あるJ 1よりもはっきりと写る。
▲ A 山陽新幹線 新下関駅 U1#3号車付近 H13. 8.15 15:32 9552A B 1
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▼ ウイークポイントを克服するには・・・
456でC0を最初に捉えた時、非常に撮り辛い車両だと思った。さて、どうすればこの問題を克服できるか?その答えは意外に簡単だっ た。ズバリ左のAの様な光線状態!つまり 、逆光状態の斜光で 捉えればOK!
順光の場合だと、PLフィルターを使用 して偏光反射を除去する手段 もあるが、これは逆にパールホワイトそのものの光沢反射を抑えてしまうため、のっぺらとした白に仕上がってしまうので、絞って撮った 方がいい。
ちなみに偏光反射というのは、被写体に対して45゜が光の屈折が最大となる・・・例えば、窓ガラスの反射を抑えるためにPLフィルター を使用して撮影した場合、正面からより斜めから捉えた方がより効果を発揮する。
ヨンニッパ×テレコン
■ エクステンダー
マスターレンズの描写性能を高レベルで維持しながら焦点距離を1.4倍、2倍に延長する二つのタイプのレンズがある。一般にはテレコン と呼ばれている。
装着時の有効F値低下は1.4倍が1段、2倍が2段となっている。私の場合の撮影目安として、基本的にRDPV+1つまりISO200が常用です から、これに合わせて1.4倍装着時はフィルム感度をISO160に、2倍装着時には、フィルム感度をISO100にそれぞれ任意設定し撮影。現像 段階で2倍増感に しています。当然、ノーマル撮影はISO200です。このやり方の方が露出計算がしやすいからです。但し日頃から撮影時には 必ずフィルム感度の確認をするクセをつけることが大切です。
▼ 428 × EX1.4
小田原定通400oは、 新幹線撮影の最もポピュラーなアングルだ。だからこそきちんとした形で撮っておきたい。この頃、100系で唯一1番編成を名乗るG1が現役で 活躍していた。この日は博臨ひかりに充当されるとあって小田原には大勢のファンが・・・誰もいない、もったいない話だ。やはり世間の話題は、 もうじき消えるV編成のほうなのか?
この日、私が一番気にしていたのが9197Aと120Aとの被りだった。9197Aの通過は15:4245で120Aは、 15:4315その差30秒。実際の通過時刻は、先頭車の運転台が出発進路を踏んだ瞬間。シャッター ポイントはホームの先端のあたり。全長約400mの新幹線電車が、220q/hで目の前を通過するのに約6.6秒かかる。ホーム中程で構えている ので、半分の3.3秒がロスタイムとなり、被りの余裕は約27秒となる。これだけあれば十分である。
▲ J 東海道新幹線 小田原駅U1#11号車付近 H 14. 5. 5 15:42 9197A G 1
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15時過ぎからセッティング開始。ファインダーを覗くと上りホームの影が伸びてきたのが気になった。最初は撮影位置をずらそうかと思っ たが、思い切ってエクステンダー×1.4を装着してみた。こいつの特徴は、ノーマルと殆ど変わらない感覚で撮影できる点である。
まず、フィルム感度をISO160にし、ファインダーを覗くと画面の左右に全く余裕がない!そこで19Aを空撮り、ギリギリなんとかいけ そうなので自分にGOサイン! ここでも当然フレームアウトぎりぎりを狙った。
この手の撮影は緊張感があってなかなかいい。仕上がった原板を見てもぎりぎりに写っている。プリントは当然フル画面で焼かないと
ダメだった!
* このG1は、平成15年8月1日
に9199Aに
充当された。これが、G1の直通ひかりとしての現役最後の運転でした。引退の花道を東京〜博多のひかりで走ってくれたことは、ファンに
とって大変ありがたいことでした。同月20日登録抹消!
▲ K 東海道新幹線 新横浜〜小田原 小原T付近 H18. 6.21 13:36 3941A J 1
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▲ L 東海道新幹線 浜松〜豊橋 269KP付近 H19. 4.12 11:12 17A W 9
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▼ 撮影地の選択
この日のJ 1は、※A601と同じダイヤでの走行試験だった。 この※A601というのは、基本的に不具合のあった台車の取替後に行われる試運転のために設定されたダイヤで、以前からこの601の運番を 使用している。前日夜の仕業検査で不具合のあった車両を当日運用から外し、午前中に台車を取替えて午後から試運転をし、当日夜または、 翌日には運用に復帰できるという設定が組まれている。
この午後からの走行というのが今回の狙い目で、特に下り列車がいい時間帯である。そこで晴天、曇天どちらでも第二生沢Tの飛び出しを狙おう と思っていた。晴天なら勿論、光線状態良好。曇天であればトンネルの向こう側がいい感じになる。ベストは薄日が差す感じの天候なんだが・・・
撮影は、ターゲットの列車のダイヤと気象状況のマッチングがベストになることを条件とし、撮影場所を選択する。これが最もオーソ ドックス。従って今回は、これでヨシとしなければなるまい。欲を言うなら、あと半段露出が欲しかった。この日は最も梅雨らしい天気だ った。
▼ R2500では
東海道新幹線では、作例Kと同じ半径のカーブで何箇所か撮影ポイントがある。ここ269KP付近は、中でも16両が1画面に納まる ポイントである。また、東海道新幹線を強調するR2500と、車両 に特徴のある500系とのコラボレーションが生きる場所だ。
晴天の冬季シーズンは、影が多く撮影に不向きだが夏季シーズンは、太陽光の回り込みを利用しながらの撮影を楽しめる。 フレーミングのコツは、D0の架線のトロリ線部分が、画面上部に水平位置にくるようにフレーミングするとすっきりと被写体を抜けます。 まぁ、迫力の点では一歩引きますが、特徴を出すという点では、いいでしょう。
撮影のベストは、やはり夏季シーズンの午後〜でしょう。
* 作例を撮影した年の9月に
、この付近で線路内に人が立ち入ったため
防護フェンスの上に有刺鉄線が張られ、現在では撮影に一工夫が必要となってしまった。それまでは手軽に撮れたのに、迷惑な話である・・・
関ヶ原の戦い!
21世紀の初年度は、T2とA0が落ちたマニアにとって忘れられない年でした。特にT2は廃車回送の日、某国営放送が台風の状況を東京駅第8 ホームから生中継していました。丁度そこにT2が入線してきてバッチリと映りました。そして、その晩にあの忌まわしいNYテロ事件です からねぇ・・・。 さて、話は逸れましたが、300XことA0は関係者の間ではエックスと呼ばれていました。このエックスですが、盆、正月、GW明けには必ず日中 試験区間を確認走行します。これは、多客輸送を終えた試験区間の軌道や架線の状態を確認するためです。ウォームアップランとでもいえば解り やすいでしょう。長年○幹鉄をやっていると、試験パターンや走行日などが判ってくるので、試験車両も捉えることが可能になってくるのです。 平成14年1月8日“エックス最後のウォームアップラン”これに私は賭けていました。以前から関ヶ原周辺の雪景色をバックにエックスを撮り たいと思っていましたから。これがラストチャンスになってしまったワケでして、そしてこれはまさに“エックスVSヨンニッパの関ヶ原の戦い!”と なったのでした。
▼ 428 × EX2
ここ加勢野トンネルは、トンネル貫きのアングルとして最も有名な ポイントだ。 但し600oが定番と 超望遠レンズが必要不可欠な場所である。私は被写体が6両編成ということもあって、400oレンズにエクステンダー×2を装着し800oでエックス との戦いに挑んだ。
▲ M 東海道新幹線 米原〜岐阜羽島 加勢野T付近
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800oともなると極端に被写界深度が浅くなり、非常にシビアなピントワークが要求される。まさにこれは、ピンポイントの世界だ。 しかも、この場所の最大の難関は、ピント合わせなのである。上り本線が略カメラレベルなので、ピントを置く位置がハッキリと判らない 。でもよく見てみると上り本線のレールが下り本線のバラストと被る位置がそうであると判断!そしてそこに置きピンした。撮影距離 約200m。これで準備はOK! 列車が真正面がちにくるアングルなのでモードラも使える。特にこの場所からは、架線柱の影の位置が判断 できないので連写する方が無難である。ところが、エックスがくる1分前に再々度設定の確認をしたところ、なんとモードラのディス レイ部分が点滅をしているではないか!一瞬焦った。しかし、勝負は焦ったら負けと自分に言い聞かせ、いつもどおり1発切で挑むことに した。なぜなら、バッテリーを交換して微妙に三脚などを動かしてしまったら元も子もない。800oともなると全てがミリ単位の セッティング。しかもカメラショクなどにも神経を使う・・・あとは黙って本番に賭けることにした。
ファインダー内にエックスが現れた。ボディーに映る架線柱の影をよく見て落ち着いてシュートした。たった一つ残念だったのは 、周りは雪景色なのに この場所だけ雪が殆どなかったことだ。
▼ 8Aは3分遅れ!
平成16年1月25日、約2年ぶりにここ加勢野にやってきた。お目当ては当然ながらJ 1。ついでにW1をと8Aが来るのを待った。しかしこの日、 NWの上りに2、3分の遅れがでていた。このままでいくと47Aと被る可能性が大!運を天に任せて時を待った。11:3250後方 から列車接近音!47Aがファインダー内に入る・・・その横からW1が現れた!
▲ N 東海道新幹線 米原〜岐阜羽島 加勢野T付近 H 16. 1.25 11:33 8A W1
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▼ トンネルの向こう側
この手のトンネル抜きのアングルで一番解り辛いのが被写体に写る架線柱の影の位置である。置きピンした位置に影がこようものならもう 最悪。お目当ての列車が来る前に何本かここを通過する列車で影の位置を確認できればいいのだが、それができない場合には、わざとトンネルの 影に被写体の顔の部分がくるところにシャッターポイントをもっていく。そうすることにより被写体がぐうっとせまってくる様子が強調できるのだ 。TVモードにし てAI SERVOを使えればもっと簡単なのだが、 しかしここを 255q/hでかっとんでくる被写体には当然通用しない!
▼ 露出は・・・
問題は露出の測り方だが、画面右側の架線柱をスポット測光。ハイライト部分とシャドー部分の中間にあわせればOKだ!
結果として、眼光が強調され対向列車が側面に写るという十分な画面効果を得られた。こういうスリリングな撮影があるからこそ 新幹線は面白い!
■ 夏の太陽光線
夏季シーズンの日中、特に正午前後の撮影は、太陽光線がトップライトとなるため嫌らわれがちだが、陽炎が揺らいだりバラストの反射光 が列車の側面を照らしたりしてなかなか面白い画面効果が得られるのである。
▲ O 山陽新幹線 西明石駅 D1#11号車付近 H18. 5. 5 14:08 24A B1
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▼ 問答無用の800mm
色の飛びの欄でも前述している700系の撮影方法だが・・・中途半端なことを考えずに思い切って顔に露出を合わせたのが右の作品。これを ある程度列車側面の露出を生かそうとすると、不鮮明でフラットな画面になってしまう。そうすると顔の色は飛んでしまいはっきりしない。 このような場合、絞り込んでコントラストを強調する方を選択する。そうすることによって画面全体に重量感が出る。また、列車後方部分に陽炎が 立っている様子も判る。つまり臨場感を含めた季節感も引き出せる訳だ。季節感というのは、前景や背景に季節の草花を入れるという方法が オーソドックスだが、このように絞ることによて撮影場所の温度を画面上に出すということもできるのだ。
5月初旬の太陽高度は、 8月中旬頃のものと略一緒なんだ。つまり夏の太陽ってワケ。当然紫外線も強いNを見れば一目瞭然! ・・・絞って候!
ターゲットに向けられたキャノン砲は、問答無用の攻めの二文字!ちまちました写真はダメ、男ならズバットいこうぜ!!
▼ 勾配区間をダイナミックに狙え!
▲ P 東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H 19. 5. 3 13:52 87A C 1
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▲ Q 東海道新幹線 浜松〜豊橋 260KP付近 H 19. 5. 3 11:10 17A W 1
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800oで新幹線電車を起伏のある区間で狙うとダイナミックに捉えることができる。躍動的な画面効果が得られ被写体の迫力も十分に 表現できる。
東海道新幹線で255KP〜274KP間は最も連続アップダウンが続く区間である。作例OPの260KP付近は、−12‰〜13‰となる下って上る 場所。ここでの撮影のポイントは、1にも2のもピントワークである。枕木の重なり、ビームの影が判り辛く置きピンが非常に困難だ。 つまりピントワークが全てといっても過言ではない。これはどの写真にも当てはまることなのだが、この手のアングルはピンポイント置き ピンが決まればいただきである。
ここのベストな撮影時期は、4月上旬の13時〜14時頃だ。シャターポイントが切り通し部分のため冬季では列車の側面 に影が長く写り込む。 夏季では草木が邪魔をする。沿線は10月頃草刈をするので、狙いは草木の生え揃わない桜の花が散った頃、つまり新緑が始まった頃だ。 また、金網抜きなので+1/3程度の露出補正が必要です。
作例OPは、太陽光線の回り込みを 比較できます。架線の影より饋電線の影の位置に注目して頂ければ一目瞭然! また車両の形状の違いによる比較もできる。このアングル の場合、丸い車体の500系の方が700系よりもこの勾配に対しての画面効果が得られるのがハッキリと判る。これは勾配のもつ縦の曲線と 500系の車体のもつ横の曲線がクロスオバーした構図を描いているからである。500系の車体の丸みが下って上るこの起伏を更に強調する。 もともと、画面に対角線を強調すると画面自体に動きを表現できるが、これはそれをさらにダイナミックにしている。この縦の曲線と横の 曲線の融合は平面構成というデザインのカリキュラム出てくる。こうしてみると500系というのは、デザイン学的にも優れているのが裏付 けられる。しかし、車内空間や座席数の問題などから色々な面で難ありとされている。そのためN700系の登場で東海道の土俵から順次 押し出される格好になってしまった。これもひとつの時代の流れなのかもね。均衡速度+カッコよさではナンバーワンなのだが・・・。
500系は、勾配区間で狙うと、更にその車体形状を強調できるのだ。陽炎が立ち込める夏季シーズンは更に画面効果を強調する。
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