◆  写真撮影の演出・・・ ◆


画面効果を狙った流し撮り!

▼ バックを強調した画面効果

作例@は暁の第3浜名橋梁を今は亡きフル編成の100系が駆け抜けて行くところを流してみました。この作品の狙いはマゼンタに染まる 東の空をバックに100系の勇姿をいかに表現するかでした。

▲ @ 東海道新幹線 浜松〜豊橋 H 11. 1.17 6:36 253KP付近 491A
Canon EOS 5 EF28-70o (70o) F2.8L USM 1/20sec f4 RDPU+1

舞台は凍てつく寒さの真冬の浜名湖。日の出の時刻は6:55。東の空が一番いい色になるのは日の出の20分前。ターゲットは6:36にここ を通過する491Aである。12月下旬〜1月中旬までの冬晴れの夜明けが狙い目で、当然撮影はまず寒さとの闘いになる。この頃の浜名湖は 北西の風が強く日中でも強烈に寒い日が多い。夜明け前後は通常一日の最低気温を記録する時間帯である。万全の人とカメラの防寒対策が 必要となるのは言うまでもない。シャッターボタンを押す指もそうだが、カメラを支える側もしっかりと指先まで血の巡りを良くして いなければならない。

この写真のポイントは画面の対比にある。天地は6:4、左右は5:5。この比率キープしてピンポイントで線路に併せて流すのである。 空のグラデーションがポイントとなるため、天を6、地を4とした。いつもとは逆だ。最初に構図を決める。この手の場合、画角をどれ位 にするかで画面効果が決まってしまう。つまりシャッターを切る瞬間をイメージするのだ。この場合、架線柱や軌道の位置で判断できる。 構図が決まったら列車を捕らえて流し始める位置にずらして何回か本番をイメージして空流しをしてみる。結果は自分のイメージと ドンピシャリならグー! そうでない場合は妥協せずに何回でも挑戦することだ。何事もまずやってみることが大切である。

▼ 日の出、日の入り前後の露出の測り方

さて、順序は逆になったが露出は・・・?   というと、反射露出計を空の一番明るいところに向け、そこで 出た露出を10倍にして撮影します。ズバリこの手の場合は画面を1/2にして出た目が答えである。一般に日の出前はアンダーに、日の出後 はオーバーに撮れといわれているが、画面1/2とはハイライト部分とシャドー部分が5:5つまり出た目の適正露出になるからです。


■ 多重露出

▼ 多重露出撮影

同一フィルム上に2回以上露出を与えて撮影する方法をいいます。つまり、フィルムひとコマに対して2回以上撮影するのです。合成 写真とは全然違います。多重露出は自然に撮影したもの同士を重ね合うからです。   鉄道写真ではよくこの方法をバルブ撮影と組み合わせて 使うことがあります。

▼ 撮影ヒント

露出の測り方は白い部分をスポット測光しそれを5倍します。例えば、f4で1/2secとするとf4の2.5secとなります。これを露光回数に よって補正するわけですが一般的な目安は2回目が−1.0、3回目が−1.5、4回目が−2.0ですが、補正量は撮影状況で全く変わってきますので 撮影データが必要な場合が多々あります。 


バルブ撮影による多重露出

▼ 多重露出バルブ

まず、作例で説明しましょう。0系末期の頃、ふとした時に小田原城がライトアップされているのを見て
  「おぅ、これはいける!」
と思って試してみました。





始めは普通にバルブしたのですが、なんとなく右側の空間が寂しい気がしたので、テールライトを入れてみようと思いました。停車中 の列車と小田原城の組み合わせなので深度を優先。f22でYK29の側面の白をスポット測光したら10secとでた。これ を5倍すると50sec f22となる。実際に1回目は45秒の露光だった。これは停車時間が45秒のためである。2回目の露光はシャッターを 切るタイミングが問題となる。当然列車に光跡が被ってはならい。列車の最後尾 が停止限界標識を 過ぎた瞬間がシャッターポイントとなるが、あくまでも基準は左側のライトです。列車の最後尾が画面から消えたら直ちにレリーズロック解除。 2回目の露光は1回目より画面にハッキリとでますので、このことをよく頭に入れておくことが大切です。

A 東海道新幹線 小田原駅 U1#1号車付近
H11. 1.19 19:45〜19:48 435A YK29  
Canon EOS 5 EF70-200o (105o) F2.8L USM
(45sec f22)×(5sec f22) RDPU+1 多重露出

▼ 光跡バルブ

作例Bを見てどこが多重露出なの?と思うのが普通かもしれません。これと同じ写真を撮ったことのある人なら解かるはずです。 それは列番表示機に点灯している列番は列車が発車するとすぐ にになる。つまり、 光跡だけをバルブしても何の列車か判らない! そこで、最初に列番表示機が列番を表示している時に1回目の露光を行います。2回目は 1Aの16号車が撮影位置を通過した瞬間にスタートし、有楽町のビル群に消えたところでスットプ。


  注意点としては、乗降客の邪魔にならない位置で構えること。1回目の露光は発車ベルが 鳴り始めてからがいい。また月曜、金曜日及び連休の初日は特に乗降客が多いので避けること。つまらぬトラブルの原因になりかねない からである。また、現在では三脚等の使用が禁止されている駅があるため、予めホームの助役に撮影許可をもらってOKならば問題ない でしょう。

B 東海道新幹線 東京駅 14#2号車付近 H 9.11.25  6:06 6:07 1A
Canon EOS 5 EF70-200o(105o) F2.8L USM
(1sec f32)×(30sec f32) RDPU+1 多重露出







 

富士山の多重露出

富士山、それは日本のシンボルである。冬のシーズンの富士山は、冠雪したその雄大な姿を我々の前に現し感動を与えてくれる不思議 な魅力をもつ山である。

▼ 紅富士への挑戦

平成9年1月26日この日は朝から夕方まで富士川河川敷で撮影していた。 夕陽に染まる21Aをラストショットにしてその場を引き上げた。富士川駅まで歩いている途中なにげに振り返ると、マゼンタに 染まった富士山に目を引かれ、一瞬その場に立ち竦んでしまった。
  「これだっ!」
  ・・・この時から私の紅富士への挑戦は始まったのでした。

 

紅富士はやはり富士川よりも富士山を大きく写せる浮島のアングルのほうがいい。「J1写真集〜冬〜」でも述べているが、紅富士に なるのは、日の出(12月中旬〜2月上旬)・日の入り(11月中旬〜1月下旬)時刻の前後合わせて5分程度。北西の風が条件である。実際に日の出、 日の入りのどちらがいいかとなると・・・富士山の染まり具合は気象条件で決まる。従って問題は、被写体に影響する電化柱などの影とかになって くる。被写体はあくまでも新幹線。多重露出の性質から2回目の露光のほうが1回目より画面にハッキリと写るため日の出を狙うことにした。当然 何回か、日の出・日の入りの撮影データ収集を 行ったりもした。気象条件に関係する撮影は根気と執念が結果をもたらすのだ。

 

▼ 思わぬ敵

この頃、私の頭の中には既にJ1と紅富士との多重露出は青写真として描かれていた。後は撮影チャンスだけだ。平成12年1月29日、 遂にその日はやってきた。日の出の40分前に現地入りし、セッティング開始。静かに日の出を待つ。東の空がだんだんと明るくなり始めた 。雲はない。富士山頂を朝日が照らし始めた。素早くハイライト部分をスポット測光し、これを−1段に補正し1回目の露光に備える。 そして富士山の冠雪部分全体が赤くなったところで露光開始!その後は目的のJ 1がくるまでじっと待つのだ。

待つこと1時間20分、定刻にやってきたJ 1を1発シュート!朝日に照らされたパールホワイトがとても綺麗だった。しかし、数日後、 仕上がった原板を見て呆然・・・!なんと富士山の輪郭が二重になっているではないか・・・この日は晩飯も喉に通らず・・・

その後、原因究明の結果、霜柱が影響し三脚設置部分を微妙にずらしていたと判明。気を取り直してリベンジに賭けることにした。


▲ C 東海道新幹線 三島〜新富士 浮島付近 H12. 2.11 6:36 8:22 1205A J 1 
Canon EOS 5 EF70-200o(120o) F2.8L USM
(1/250sec f5.6)×(1/6000sec f5.6) RDPU+1 多重露出

▼ リベンジ

その日は以外にも早く訪れた。前回同様に日の出の40分前に現地入り、といてっも日の出の時刻は前回よりも約15分程早くなっている。 当然日の当たる角度が東寄り(画面右寄り)になるため前回より撮影条件はよくない。しかも辺りは証拠にもなく霜柱・・・入念に三脚の 設置を行い、日の出を待った。ここの日の出は田子の浦港の日の出を調べればいいのだが、富士山頂を朝日が照らし始めるのは、それより も10分程早い。富士山頂を朝日が照らし始めると、素早くハイライト部分をスポット測光しこれを−1段に補正する。同じ画面にもう一度 露光するわけですから、当然マイナス補正しなければ露出オーバーになってしまいます。過去に段階露出で試した結果が−1段です。 また、富士山の冠雪部分をスポット測光するのは新幹線の色と略同じだからです。さて、無事に1回目の露光を終えると、ここからは カメラを絶対に動かせない状態となります。問題は、2回目の露光までの1時間46分。これは途轍もなく長い時間に感じました。2回目は J 1が通過する15分前に露出を測った。多重露出の場合、絞りは変えずにシャッタースピードだけ変えるのが基本です。背景は 動かないものですから。ここで−2段に補正します。当然2回目の露出が前面に出てしまうためです。夜景の多重露出とは根本的に違い ます。実際に1205Aが来る時刻が近づくと次第に緊張が高まり始めた。8時22分定刻にJ 1は現れ、無事撮影を終えることができた。 しかし、仕上った原板を見るまでは安心できなかったことは事実でした。 



雨の撮影

▼ 雨こそが新幹線撮影の醍醐味

新幹線が雨を切り裂いてかっとんでくる姿は、迫力満点である。これは、他では味わえない新幹線ならではのものである。しかし、 撮影条件としては晴天時に比べて遥かに難しい。そこで、足場のいいホームから狙える場所を探してみる。雨が降っていてもホームから 狙えば、濡れることなくシャッターに集中できる。また水飛沫を強調させる上で背景が暗い所がいい。この条件を充たしてくれるのが 小田原駅上りホームである。さらには、退避列車がいないことと列車の表情を強調する意味から望遠レンズを使用することが加わる。

▲ D 東海道新幹線 小田原駅 U1#7号車付近 H11. 7.14 9:05 1206A J 1 
Canon EOS 5 EF400o F5.6L USM 1/750sec f5.6 RDPU+1
Back

この日は前日からの雨、J 1も絶好のダイヤに載り、一つの条件を除いて全てが揃った。が、問題は雨量である。あまり雨が多過ぎる とピントの位置が分からなくなる。少な過ぎると水飛沫がいくらも上がらない。実際通過5分前に一瞬雨が止みドキッとした場面もあった が、なんとか無事に撮影することができホッとしました。

▼ 露出の測り方

雨天の場合は全体的にコントラストがなく、メリハリのない画面になりがちです。基本的に夜の撮影とは逆に、アンダー露出で撮ります。 参考までに、パールホワイトの700・300系で、バラストのスポット測光値の−1。ライトグレーのレールスターや500系では−2/3 ないし−1/2。N700系は、−11/3。考え方は、被写体の単体露出を引き出せばOKということです。これも現場状況によって補正が必要の 場合がある。撮影にベストな雨天は、雲があまり低くなく曇天に近い状態の時で、雨量は土砂降りではなく程よく降っている時です。



  ともかく困難な条件の撮影はやりがいがあります。だって、美人の女性を口説き落とす時は、 誰でもなりふりかまわず必死になるでしょうが・・・



▲ E 東海道新幹線 小田原駅 U1#3号車付近 H11. 7.13 9:50 213A J 1 
Canon EOS 5 EF400o F5.6L USM 1/500sec f5.6 RDPU+1




▼ 画面効果を狙う!

雨天の撮影では、雨に濡れたレールに反射するヘッドライトを入れて画面効果を引き出す場合もある。作例Cはバックに架線柱が 重なるように撮影し水飛沫を強調する。更には退避列車の側面にJ 1の顔を映し出すのだ。ズバリこの作品のポイントは、前照灯の 映る位置である。新幹線の撮影はともかくエキサイティングな世界である。
 
  さてさて、こうなると撮影はヒートアップするばかりである・・・



◆  露出不足と逆光線  ◆

まず、本題に入る前に・・・。超望遠レンズ編でも述べているが、低感度フィルムは粒状性に優れており、対して高感度フィルムは 粒状性が悪い! 女性の肌に例えるなら、低感度フィルムは餅肌、高感度フィルムは鮫肌。当然、餅肌の方が人気になる。しかし、鉄道写真のよう に高速シャッターを要求される分野においては、微粒子かつ高感度が必要不可欠となる。 そこで微粒子の低感度フィルムや標準感度フィルムを増感し微粒子かつ高感度を実現 化させる方法をが主流となっている。

▼ カラーリバ−サルフィルム

現在では、デジカメが主流であるが、このカラーリバ−サルフィルムは、別名カラースライド用フィルムと呼ばれている。なぜ殆どの カメラマンがこのリバーサルフィルムを使っているかという と発色の良さという点でしょう。色彩が鮮明に表現でき画面効果をそのまま表現できるという大きな特性 があります。しかしその反面、シビアなピントワークと露出設定が要求されます。それは 性質上ラチチュードが非常に狭く、撮影時の露出 条件、照明光源の光質が仕上がりに直接影響するからである。ようはごまかしが効かないってこと。

そこで、登場するのが今日私が最も信頼をおいているRDPVである。このフィルムは私が今まで使ったフィルムの中で悪条件にめっぽう 強い!尤も超微粒子が謳い文句のこのフィルム、デビュー当時はそれまで私の常用 フィルムだったRDPUと比較すると発色が悪い、つまり彩度が弱いというのが第一印象でした。ところがこのフィルム使えば使うほどに 良さが出てきて
  「こいつは優れモノだなっ
と実感しました。

露出不足で威力発揮 ! RDPV

2003年のクリスマスイブの朝、品川駅で撮ったJ1を例にとって解説しよう。ハッキリ言ってこの日の撮影はダメかと思った!

12号車パンタに注目!
▲ F 東海道新幹線 品川駅 D1#3号車付近 H15.12.24  7:37 8920A J 1
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX2 (800o) 1/160sec f5.6 RDPV+1

▼ 露出が上がらない・・・

今日はクリスマスイブ。いい歳したおっさんが何故か朝からルンルン気分!まるで デートの日みたいだ。それというのも新型パンタを搭載したJ 1が深夜の速度向上試験をへて1パンで回送してくるのを品川駅で撮影 できるからである。

実際に品川駅D1#に到着しカメラをセティングしてみると露出が全然足りない。この日の日の出は6:48でJ 1の到着が7:38その間50分、 まず最初6:50に周辺を測ってみた。バラスト、八ツ山トンネルのコンクリート面、ケーブル溝の蓋。ISO100 1/125sec f5.6
  「写るかなぁ〜」
  というのが正直なところでした。また7時台はこのD1#から261Aと443Aが着発するため乗客も多い、443Aが発車するまでは 撮影位置からカメラを退けておかなければならないのだ。443Aが発車するやいなやカメラを構え530Aの入線で再び露出を確認するが、全然 露出が上がっていない。高層ビル群の陰になっているためであろう・・・既に日の出から40分が過ぎていた。

そして、ホームに回送列車入線のアナウンスが流れると、八ツ山トンネルの向こうに前照灯が見え始める。辺りにはようやくビルの 間から冬の軟らかな陽が射し込めてきた。何も考えずにシャッタースピード を-1/3にした。八ツ山トンネルを抜けてきたJ 1は、ハイビームのまま、U0からD1#へと進入 してきた。画面一杯に前照灯の光が散乱する感じだった。シャッターを切った瞬間、まずダメだろうなと思った。しかし以外に気分はさわ やかだった。それは久しぶりの恋人との再会を長球で捉えた満足感からであろうか、後になって思い出しても?がつく・・・で、 これが2003年の撮り納めの一枚となったのでしたた。


▼ 恐るべしRDPV

仕上がった原板を見てビックリ! キッチリ写っているではないか!! 冬の朝の雰囲気も軟らかな陽射しも、ハイビームも、薄暗い 八ツ山トンネルの向こうも・・・片パンもそれを照らす投光器も良く判る。ざすがRDPVだっ! そして、このアンダーに強いRDPVを実証 する時がやってきたのがJ 1編成走行試験も佳境に入った2月下旬のことだった・・・

▲ G 東海道新幹線 小田原駅 U1#14号車付近 H16. 2.22 15:02 8994A J 1
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX2 (800o) 1/250sec f5.6 RDPV+1

▼ アンダーに強いRDPV

この日は日の出とJ 1を狙いに東二両へゆき、その足で第2生沢トンネルの飛び出しを狙うべく二宮へ向かったのだ。現地にはJ 1が やってくる1時間前に到着した。この段階では晴れ、返しをどこで狙うかは決めておらず午後からは雨の予報だった。

10:30第2生沢トンネルJ 1定通。この場はひとまず退散。北公園から大磯までのバスの中でとりあえず小田原に向かうことに決めた。 小田原に着くと急に雲行きが怪しくなり始め風も強くなってきた。時々横殴りの雨が降ったり止んだりの繰り返し、暗雲が垂れ込め完全に 露出不足の状態。15:03に雨が降っていればいただきなんだが・・・そんなことを思いながら時を待った。結局J 1通過時は暗雲に 覆われた曇天。おもいっきりアンダーで1/250sec がやっとだった。結果としてアンダーに強いRDPVを実証できたのだ。やはり超微粒子と 謳っているだけあって、きちんと粒状性が保たれている。個人的に残念でならないのは通過10分前には雨が降っていたことだ。この露出で 雨なら1/640sec はいけたはず・・・  それにしてもこのフィルム、露出アンダーでのモノトーンの発色が群を抜いている。 



▲ H 大井回送線 (品川)付近 H16. 3. 1 12:04 7770A T3
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX1.4 (560o) 1/125sec f4 RDPV+1

▼ 露出最悪の'04幹鉄春祭!

平成16年3月1日、この日は朝から冷たい雨が降っていた。予報では昼前には止むはずだったが・・・ところが霙まじりの春の雨となって しまい折角の幹鉄春祭に 水を差す結果となってしまった。

毎年そうだが、年度末は特に忙しい。こんな時期は、学生諸君が羨ましいと思ったりもする。 せめて事実上最後となるT3の東京〜三島の白昼走行!これ だけはなんとかカメラに納めたいと思っていた。幸いに昼休みを上手く利用して1ヶ所だけ撮影できる場所がある。しかも最悪の露出でも 制限速度60q/hなのでなんとか止められるはずだ。そう確信して必要 最低限の装備で現場に向かった。

11:50現場到着。霙が降っているがいくらか小降りになった。11:57に738Aが通過。1/125sec f4 RDPV+1という思ったよりも悪い 露出だ。17m/sは1/125secだと約136o動くことになる・・・枕木のピッチは588o、う〜んなんとか止まるかぁ、あとは黄色が綺麗に出る かだ?

そして本番、半信半疑のままシャッターを切った。結果はご覧のとおり、黄色もOK! またもやRDPVに助けられたというのが正直な 気持ちだ。RDPV様様、感謝感激!!



▼ 台風10号の影響が響いた'04幹鉄夏祭!

平成16年8月1日、この日、下の池のお立ち台には約30名のマニアが集まった!これは私の新幹線撮影史上初めてのことである。しかし、 T3がこれだけ注目度の高い列車になるとは、5年前では想像もつかなかった。

前述の“事実上最後となるT3の東海道新幹線、東京〜三島ひとヤマの白昼走行 を覆すかのような今回の“T3東海道新幹線サンデー 白昼走行”しかも午前中の上りダイヤ、こんなの本当にあり?というような見事なスジ!思わず仕掛け人の顔が目に浮かぶ・・・。過去5年間では 、平成11年8月4日の台検回送平成14年8月3日の交検回送が共に東海道新幹線を午前中下った例として 挙げられるが、今回のような上りでは例がない。

さて、どこで撮るか?だが・・・せっかく光線状態の良い時間帯を上ってくるのなら、やはり下の池!まず第一候補に決まった。第二 候補は曇った時の174KP付近、晴れ曇りどちらでもOK の第二生沢T横は第三候補。新居町駅の競艇連絡通路は予備候補だった。いずれも下り列車の被りナシ!ところが一週間前、思わぬ敵が 現れた。台風10号である。最初は気にもしていなかったが日本列島に近づくにつれ速度を落とし、いつまでも停滞していた。週末が近づく につれ不安材料が増す。出発前日の晩まで悩んだ末、結局下の池に向かうことにした。 まぁ、関西の雄とも落ち合う約束もあったので・・・

▲ I 東海道新幹線 205KP付近 H16. 8. 1  9:13 6952A T3 
Canon EOS 3 EF70-200o(70mm) F2.8L IS USM 1/1000sec f2.8 RDPV+1

当日は、2:30になんとか起床するもやたらと眠い!前日は20時頃まで仕事。帰宅後に見たPK戦ですっかり興奮してなかなか寝つけな かったせいだ。441Aを使って現地入りするとギリギリになるため321M〜497Aを選択した。これとて本番1H前の現地着となるが止むを得ない。

8:00現地到着。3段目には既に8本の三脚が立ち並んでいた。天気は晴れベースだが台風の影響で雲も多く、その流れが速い!従って 太陽が出たり隠れたりの繰り返しで露出がなかなか決まらない。露出差は2段〜3段と目まぐるしく変化する。この時点で最悪の露出を考えていた。それ でもこの場を動く気にはなれなかった。というよりここに立った時に腹は決まっていた。やはり東海道らしさをだすには、ここしかない!ただの 走行写真ではこのダイヤが泣く・・・答えは既に出ていた。

問題はどうフレーミングするかだが・・・ここのアングルは、背景処理がカギとなる。85mmで空を入れずに撮るかどうかちょっと迷った が、ここは東海道らしさを優先させてキッチリ70mmで オーソドックスにいくことにした。

本番が近づくと怪しい雲が出始め、通り雨の洗礼を受けるが1分と経たないうちに止んだ。9:10、443Aが下っていった。いよいよカウント ダウン・・・K氏のビデオスタートの合図とともに辺りは静まり返った。2分過ぎ、下の池 トンネルの向こうに前照灯が見えた。

6952A 9:13 205KP付近定過・・・数年ぶりに聞くシャッター音の嵐! K氏の
  「ご協力ありがとうございました!」
の言葉で無事撮影は修了した。それにしても皆さん協力的で気持ち良かった。しかし、直後にまた10秒ぐらい通り雨。皮肉にもお立ち 台から降りた時には日が差してきた・・・。


▼ ダイヤ分析

結果として晴れではなく曇りでの撮影となってしまった。この盛スジ、先行する444Aに掛川で最も接近するためスジを寝かせてある。 従って210q/hではこないと読んでいた。曇ってもなんとかなる。単純に183q/hで計算すると51m/sだ。1/1000secで約50o動くことになる。まぁ この角度ではこれが写し止められる限界かなっ。曇天のわりには良く色が出たのではないだろうか。またまたRDPVのお蔭かなっ・・・でも、晴れ て欲しかったというのが本音である。

▼ 逆光を狙う!

現在、東海道山陽新幹線を走っている車両のうちその殆どは白いボディーに青いラインである。これは元々富士山の色をイメージしたと 聞くが・・・ で、現在は0系デビュー当時のアイボリーホワイトからメタリックの 入ったパールホワイトに 変わっている。そのため晴天順光時の撮影では白色が飛んでしまう傾向がある。新幹線を撮影する上で一番のネックになるのがこの点だ。また これを逆手にとると逆光時の撮影などは反射を利用した面白い画面効果が得られるのだ。

▼ 逆光での画面効果を狙う

晴天順光が鉄道写真のお決まりなんだがあえて逆光を狙ってみた・・・。ひとくちに逆光といっても色々あるが、ここではまず斜光、俗に 言う半逆光ってやつだ。被写体に対して60°位の位置からの逆光線で、バラストや架線柱ビーム、ステー、ブラケットに光線が反射し コントラストが強くなって画面全体を引き締めている。また、被写体のフロントガラス左上に反射している光線と前照灯の光がJ 1の 顔の表情を引き立ている。 

▲ J 東海道新幹線 浜松駅 U1#1号車付近 H16. 1.28 14:04 8920A J 1 
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX2 (800o) 1/800sec f5.6 RDPV+1

▼ 突然訪れた撮影チャンス!

この日は朝から通常仕事。ところがひょんな事から突然撮影チャンス到来!
  「急げ、@J1浜松へ・・・今日は冬晴れ、ギラリが撮れる!!」
てなことから急遽帰宅し、器材一式を持って浜松へと向かった。しかし、新横浜に到着したのが11:48で乗りたかった457Aは既に発車した後で した。その後の415Aでも通過の11分45秒前に到着できるのですが、どうしても逆光線の反射具合を1本前の列車で 確認したかったからです。そこで虎の巻とニラメッコ・・・ 
  「おっ、これだっ!」
ひとつだけ1本前の列車に間に合う方法があった! それは、新横浜から400Aに乗車し品川で271Aに乗り換えて浜松入りする という新幹線攻略法だ。 早速実行し浜松へと向かったのだ。

  現地到着後直ちにセッティング開始!ファインダーを覗くと予想どおりの世界が広がっていた。思わずニヤリ! 後は被写体 の反射を確認すればいいだけだ。13:5115先行の74Aが退避中の462Aをパスして行った。この様子を ファインダーを透して見ていたら、反射位置もOK!被写体を正面がちで捉え、横の空間を保ったほうがワイドかつディープに仕上がると 直感。撮影位置を1.5m程ホーム内側に移動し本番を迎えたのだった。



▲ K 東海道新幹線 熱海駅 D0#11号車付近 H20. 2.11 7:29 5A N 1
Canon EOS 3 EF400o F2.8L IS USM × EX2 (800o) 1/320sec f5.6 RDPV+1

▼ 画面効果覿面N700系!

N700系のエアロダブルウイングを強調する上で、正面から狙うアングルが効果覿面である。また、アンダー露出によって更に表情を引き 出すのだ。

そこでまず、第1熱海トンネルから飛び出た瞬間をヨンニッパ×2倍テレコンで狙ってみた。露出は、バラストのハイライト部分を スッポット測光し、出た目で設定!何はともあれ、“エアロダブルウイング”の由来は、この正面から見た被写体にあるのだ・・・

JのJ 1もそうだが、このての色は私好みで、本来なら出難いシャドー部分の立体感が全面に表現できるのだ。顔にアクセントのある 車両は、この様な面撮りで画面効果を強調すると、また更に撮る楽しみが増えてくる・・・



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